エレナは奥のベッドに座った。そこから部屋の中をもう一度見渡した。浩介はエレ
ナの前に跪いている。
「お前綺麗好きなのね。片付いているじゃないの。いつもここでいやらしい事考え
ていたのかしら、ウフフ。」
浩介の後頭部を足で撫でながら、エレナがからかう様に言った。
「はい、急いで片付けました。まだ少し汚れていて申し訳ありません。」大人みた
いな口利きで、浩介が答えた。
「フフフ、あたしの為に努力はしたと言いたいのね。でも当然なのよ、そんな事は
ね。」エレナが言う。
「はい、その通りです。言い方が悪かったです。すみません。」慌てて浩介が謝っ
た。
「まあいいわ。ほら、お前顔を上げてごらんなさいな。」エレナは浩介の頭から足
を上げて言った。
簡単に許されたのが、浩介には信じられなかったが、エレナの命令が出たのでそれ
に従う。
浩介は顔を上げてエレナを見たが、目が合ったので慌てて逸らした。目の前にはエ
レナの組んだ足があった。
その爪先を、浩介はまじまじと見詰めた。爪は綺麗に整えられ、磨かれた貝の様
だ。キスしたい衝動を抑えるのに必死になる。
ふとその爪先が、顔の前に差し出された。
鼻先5センチ以内の近さだ。ほんのりとソープの甘い香りがする。
その爪先が、浩介の顔をなぞる様に、ゆっくりと反転する。浩介の視界一面に、エ
レナの足の裏が拡がった。
「フフフ、お前はここが何だか解るかしら。」エレナが言った。
「はい、エレナ様の素晴らしいおみ足の裏です。」エレナの足裏を見詰めながら浩
介が答えた。
「あははは、あたしの足には間違いないわよ。お前はさっきこれで逝かされたの
よ。フフフ、覚えているのかしら。」
エレナは続けて、「そんな当たり前の事じゃなくて、お前にとってあたしの足は、
どういう存在だと思っているのかしら。」
エレナが笑う度に足裏が振るえ、浩介の顔に触れる。浩介はその心地よい感触に酔
いしれていた。
柔らかいそのエレナの足裏は、残っている人間としての尊厳も理性も吹き飛ばす魔
力を秘めている。
自分から顔を押し付けたい衝動を抑えるのに必死で、浩介は答えられないでいた。
「ここがあたしとお前の境界よ、よ~く覚えておきなさいな。フフフ、解ったのか
しら、あはははは。」
額をヒタヒタと足裏で叩きながら、楽しそうにエレナが教えてくれる。
「はい、解りました、エレナ様。」浩介はその感触に感激しながら、エレナに返事
を返す。
「お前は今日からこの足より下に居る身分になったのよ。遥か上にあたしを仰ぎ見
て、誠心誠意尽くすの。満足?嬉しいのかしら。」
奴隷にして貰えるかもしれない。浩介は信じられなかったが、エレナの口からはっ
きり言ってほしかった。
「エレナ様の奴隷にしていただけるって事ですか。」エレナの足裏に話す様に、浩
介が聞き返した。
※元投稿はこちら >>