その後、和希はしばし虚脱状態となっていた。
初めての性体験である和希にしてみれば、かなり衝撃的な内容の数々であっただ
ろう。それだけに今この少年は何を感じ考えているのだろうかと、真由は興味深い
ものがあった。
「私にこんな遅くまで付き合ってくれてホント有難うね、和希君」
「う、うん・・・」
未だ快感の余韻で気持ちに昂ぶりが残る真由とは対照的に、和希は二回続けての
射精後とあって、すっかり冷静さを取り戻している様子だった。しかしそれだけに
和希は複雑な表情を浮かべ、恥ずかしさと気まずさが相当あるのか、真由に対しさ
っきから一向に視線を向けてこようとはしてこない。
時間が時間だけに、そろそろこの辺りが潮時かと真由は思った。
「それじゃあ、そろそろ君ともお別れね」
そう真由が言うと、和希は急にオドオドした様子になっていく。
「あの・・・真由さん・・・」
「何?」
「お別れっていうのは・・・その・・・もうこれで会う事はないって意
味・・・?」
上目遣いで恐る恐る、和希は真由へと問い掛けてきた。
「また私と会いたい?」
「出来れば・・・」
顔を俯け、か細い声でそう和希は答えてくる。
しかし和希のそんな言葉が、真由にとってまさに願ったり叶ったりというべきも
のであった。正直なところ、真由自身が和希と次に会うためのきっかけをちょうど
今考えていたところであったからである。
「また私と会ってくれるっていうなら、連絡ちょうだい。私としても予定があるか
ら、いつでもって訳にはいかないけどね」
「うん」
ようやく和希はまた明るい表情となっていく。
そして真由と和希は、互いの携帯番号とアドレスを交換する。
「そうだ、これ和希君にあげよっか?」
すっかり上機嫌の真由は、未だタンクの上に置いたままだった自らのショーツ
を、和希の目の前へと示してきた。
「えっ・・・」
突然そんなものを真由から差し出され、和希は大いに困惑してきてしまう。
「いらないなら、別にいいけど?」
「・・・・」
和希は、なかなか明確な返答をしてこなかった。そんなものを素直に受け取る事
に、かなり抵抗がある様子だった。かといってキッパリと拒否もしてこないところ
からして、目の前に存在するその淫靡に濡れた真由のショーツは、少年にとって極
めて魅惑的なものであるらしい。
「ま、必要ないなら勝手に捨ててちょうだい」
そう言うと真由は、戸板に付けられたフックへと掛けてある和希のカバンへ、持
っていたショーツを勝手にその中へと押し込んだ。
真由のそんな行動に戸惑いの色を浮かべる和希であったが、カバンの中へ入れら
れたショーツが突き返される事はなかった。
「だけど・・・それじゃあ真由さんがノーパンのままじゃ・・・」
「いいのよ、どうせ後はもう帰るだけだし」
「・・・・」
そういう問題じゃないだろうと、いかにも言いたげな表情を和希はしてくる。
しかしそんな和希を無視し、真由さっさと閉じられていた個室のドアを開けた。
「じゃあね、和希君」
そう最後に言うと、茫然としたまま立ち尽くす和希を残し、真由はその場を後に
するのだった。
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