お金まで取られたくせに、この従順さは本物だわ。
さっき痛め付けた事も効いているのかもしれないけど、完全に隷属させたみたい。
そう思いながら足の下で頭を擦り付けているノブ子を見た。
少し震えている。怖がっているのだろう。あたしの顔色を窺ってるんだわ。
顔が緩んでいるのが解る。こいつにとって自分は神になった。
どんな事をしても許される。こいつにはいつもビクビクさせといてやろう。
「お礼はどうしたのかしら。」ミュールのヒールを突き立てながら、エレナが言
う。
「暮らしてあげるって言ったのよ。」怒り口調にしてみる。
エレナの顔は笑っていた。だがノブ子にはそれが解らない。
それどころかヒールの痛みで先程の恐怖が蘇った。パニックになった。
体を大きく震わせながら、声を上げて泣き出した。そしてまた失禁した。服を着て
いないので、ダイレクトに床に粗相が広がる。
「何でまた漏らすのよ。汚いわね。」エレナも予想していなかった。
「もう、ゆるひてくたはい、おねがひでふ。」声にならない哀願が聞こえる。
「いいから始末してしまいなさいな。うふふふ、話はそれからだわ。早くするの
よ。」
少しノブ子が可愛そうに思えたエレナは、笑いを堪えながら努めて優しく命じた。
「ぶぁい、わかじまじた。」ノブ子は今回の返事はできた。
エレナはとうとう笑った。「あははは、いいわよ、お前。早く始末おし、あはは
は。」
ノブ子は不安だった。始末が終わればまた体罰が始まるかもしれない。そう思うと
怖かった。エレナの方を見られないでいた。
「そのくらいでいいわ。ここにお座り。」エレナが位置をミュールで示す。
不安を隠せないノブ子は、震えながら跪き床に頭を付けた。
エレナは軽く足を載せる。その瞬間ノブ子がビクリとした。
足の裏に振動を感じながらエレナが口を開く。「あたしが怖いの、お前は。」
ノブ子は返答に困った。だがすぐに返事をしないと、さっきの二の舞いである。
「申し訳ありません。」そう言うのがやっとだった。
「あたしを見なさい。」エレナの言葉にノブ子は見た。輝く様なご主人様の顔が見
える。
エレナは爪先をノブ子の顎に掛け縦に揺する。ノブ子の顔が上下している。
「怖いのね、あたしが。」ノブ子は返事できないでいたが、エレナの爪先揺すりで
頷いている様に見える。
「それでいいのよ。」エレナが短く言った。
「今後もあたしの機嫌を損ねない様に、せいぜい努力なさいな。それがお前の役目
よ。」
爪先はそのままだ。でも動きが止まった。
「あたしの目を見て誓なさい。お前にとってあたしは神なのだと。ほら、言えない
のかしら。」
エレナの言葉にノブ子は衝撃を受けた。
自分にとってエレナは神様以上の存在だと自覚している。命令に背く事は運命に逆
らう事なのだとも解っていた。
人生の中で何人の人間が、神に巡り合えるのだろうか。
自分にはエレナという、全てを犠牲にしてでも服従すべき神がいる。
しかしその神様は、役に立たない者には哀れみの気持ちを持たない。
誠心誠意仕える気持ちだけでも、伝えておかないといけない。
ノブ子は背筋を伸ばし、エレナの目を見つめながら、祈りを捧げる様に言った。
「エレナ様は神様です。私みたいな者を構って下さる慈悲深い神様です。どうかこ
んな私でも導いて下さい。よろしくお願いします。」
ノブ子の宣誓に、一応は満足したエレナであったが、念押しの為に付け加えた。
「今は許してあげるわ、でもまた逆らったら酷いよ。」
「気に入らなかったらいつでも罰して下さい。エレナ様が全てです。どうか捨てな
いで下さい。」
ノブ子は自ら自分の顎から爪先を交わし、頭を付けようとした。
「ほらほら、それも駄目よ。あたしの意思でお前の顔を上げさせているの。勝手に
下げるんじゃないわよ。」
「申し訳ありません。」エレナの叱責にはっとしてノブ子が詫びる。
「いいわよ、次から気を付けて。それよりもここを見てご覧なさい。汚れているん
じゃないかしら。」エレナは靴裏をノブ子に向ける。
ノブ子はミュールの裏を見た。さっきからずっと踏み躙られている靴裏だ。
外履きのせいか汚れている。所々に赤いシミも付いていた。
「さっき見たらお前の汚い血が付いていたわ。舐めるのよ、ほら。」
ノブ子の顔にミュールの裏が押し付けられる。「有難うございます。」お礼を言わ
ないと叱られる。
「フフフ、綺麗にできたらご褒美あげるわよ。お前を傷物にしちゃったからね。」
エレナが笑った。
ノブ子は無心に舐めた。自分にとってはエレナ様の靴裏だって立派なご褒美であ
る。昨日どんなに舐めたくてもできなかった事だ。
舌をいっぱいに出して舐め上げる。エレナも舐め易い様に、裏を向けてくれてい
た。赤いシミも取れ、裏全体が自分の唾液で光った。
「今度はこっちよ。」軽く額を蹴られ、ミュールが替えられた。
こっちにはシミは無い。血が付いていたのは片側だけだった様だ。
無心の舐め作業が続く。「うふふふ、綺麗になったのかしら。」笑いながらエレナ
が尋ねる。「はい。」答えてすぐに口を離した。
本当はもっと舐めていたかったが、汚れていたのは片方だけで、今舐めていた方は
比較的綺麗だった。
快楽の為の嘘は駄目だ。ノブ子は我慢した。
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