今日、妻が帰宅する。
先週、政府から通知があり、その時に一緒に、ベビー用品一式も届けられた。
出産シーンまで全国放送された妻は、この国では知らない人はいない、とまで有名になった。
子作り教室の時間は出産までで終了となったが、その録画された内容は、これから教育教材として全国の高校に配布される他、一般のレンタルビデオ屋でも貸し出しが開始された。
そんな有名人の妻が、帰ってくる。
息子と一緒に。
私は、政府から斡旋された職業につけた。公務員ではないが、安定した職業。カウンセラーによるカウンセリングも無料で受けられるが、いったことはない。
今日から、新しい一日が始まる。
ガチャ・・・。
玄関があいて、妻が入ってくる。
「おかえり」
「ただいま。」
一瞬、見つめあった。
1年会ってないなんて思えないくらいに、あっさりした再会。そりゃそうだ。俺はテレビで君を見ていたもの。
リビングに、荷物を持って入る。先週まで、散らかり放題で汚かった部屋だったが、今は息子を出迎える準備で、きれいになっている。
「ねぇ。私、ほんとに帰ってきていいの?」
荷物を置いた妻が、正座して私に問い掛ける。
「それは・・・。」
いいよ。と言いたかった。言うべきだった。だけど、妻はもう、あの頃の妻ではない。
「私、まだ特別職国家公務員なんだ・・・。」
「じゃ、じゃあ、またあの・・・。」
「違うわ。来年からは、また違う人が出るはず。」
「なんだ・・・。でも、子供は産まれたじゃないか?」
そうだ。子供ができない人が、徴用されるんだ・・・。
「今は、育休期間なの。あと13年くらいかな・・・。」
「そんなに?」
「そう、それまでは普通の主婦ができるの。だけど・・・。聞かされてないの?」
「い、いや全然・・・。」
「この子が13歳になったとき、また教育テレビに出ることになってるの」
「・・・。」
「みたでしょ?この子は、あなたの子じゃないの」
「・・・。」
「ねぇ、ちゃんと見て」
服を脱ぎだした。テレビの向こうにあった妻のからだが、今、目の前にある。
真っすぐに見れない。
「ねぇ。しないの?11センチのあなた。」
「な・・・。」
「いつも見てたんでしょ?みて、ここで汚らしい精液を、ぶちまけてたんでしょ?」
「な、なにを」
「だって、ほんとでしょ?」
カバンから、大量の写真を出した。俺がこの部屋で惨めに一人で処理している写真。盗撮されていた。
「精子バンクでも断られた小さなチンポなんでしょ?」
なぜ笑う。なぜ挑発する。
「ほら、見せてみなさいよ。どーせ、今まで入れてくれてた男優さんたちの半分もないくせに。もしかしたら、あの子のより小さいのかもね。あの子と似てるのは、ホーケーなとこだけかもよ?まぁ、他人の種だから、成長したら負けちゃうだろうけど」
気付いた。涙声になってる。
「はやくしなさいよ短小。精液を撒き散らすしか脳がないソウロウのくせに!」
泣いてる。妻が、私を罵倒しながら泣いてる。
「ほら、私はこんなに淫乱なの。見て、あなたのチンポの2倍のバイブも、こんなに両穴に入れないと感じないのよ」
カバンから、なにかを取り出そうとしてそのままカバンにつっぷしてしまった。
「私、もう、あなたといられない」
「・・・。」
「もう、あの頃の私じゃないの!」
「いいんだよ、そんなの!」
気付いたら、後ろから抱き締めて叫んでいた。
「なんで?何でそんなにやさしいの?あなた、おかしいんじゃないの?」
「いいんだ、気にしないで。ここにいていいから・・・。だから、また妻になってくれよ」
もう、いい。すべてを許して受け入れないと、前に進めない。
たしかに、昔のようには暮らせないかもしれない。だけど、新しい家族、新しい職場、新しい環境、そう、すべてをここからやり直せばいい。
そんなことを、二人で確認しあうように話し合った。
13年がたった。
あっという間に、息子は成長していった。案の定というか、私とは似てないが。いや、似ていないほうがいいんだ。優秀な息子だ。
去年から、息子には夫婦で性教育を教えている。といっても、性欲の発散のさせかたの、ひとつの方法として、マスターベーションを教えた。もちろん、運動などで発散することも大事だが。何より、教える前後での違いは、暴れることが少なくなったことか。
もちろん、夫婦で教えているのは、対象を妻とするためだ。俺はしごき方を教え、妻は女の身体を教えている。言ってしまえば、家族3人で仲良くオナニーを見せあっているようなものだ。
しかし、そろそろ息子も限界だ。妻に触りたくて、ウズウズしている。
13歳の誕生日を迎えた日、妻と息子はテレビに出ていた。
俺は、また13年前と同じようにリビングのテレビの前だ。
「こんばんは。初めての親子性教育の時間です」
あの頃からしたら、かなりふっくらした妻。でも、丸みを帯びた妻のからだが、服の上からでもいやらしいニオイが立ち上る。
「この番組は、正しい性知識をご家庭で学んでいただけるように制作したものです。恥ずかしがったり、奥手になったりしないで、お子さんに将来、正しい性活を送ってもらうために、お母さんたちも頑張りましょう。」
政府がすすめるプログラムは、この10年で劇的に効果があった。人口は増加の一途をたどり、景気は回復していく。が、しかし、性犯罪の若年化、正しい知識の不足からくる妊娠の若年化がすすんでいる。これを正常化するために、今年から性教育は各家庭でしっかりと躾けることが義務付けられた。
そして、妻はまたテレビの向こうへ戻っていった。
「では、まずは性器の確認からしていきましょう」
妻が、息子の服を脱がす。
俺は、テレビを消した。
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