私が精子バンクで使うオカズは、いつも持ち込みだ。携帯で録画した、いままで3回分の妻の番組。
それなりのオカズが用意されてはいるが、私には興味がなかった。
日曜夜10時がやってくる。
今日はピンク色の可愛らしいスーツ。挨拶が始まり、私もじっと画面にへばりつく。
「こんばんは。子作り教室の時間です。第4回目を迎えました。」
一呼吸おいて
「今日は、重大なお知らせがあります」
・・・。
「今までの3回で、子作りがいかに簡単で、しかし重要なことだということが、おわかりいただけたでしょうか?専門用語だけで簡単に説明するなら、まんこに、ちんぽを入れて、ちんぽ汁を流し込めば、簡単に子供ができるのです。」
なんて卑猥な・・・。全国ネットで流されているのに・・・。
「しかし、私は結婚してから3年、子供ができませんでした。それは、夫婦間での問題でもあるのかもしれません」
いったい、なにを・・・。
「旦那さんの精液が正常で、奥さんの子宮も正常なら、妊娠はするはずなんです。しかし、私たち夫婦は妊娠しなかった。私のからだにあった異常は、とるにたりない小さな問題だったのです。できにくい体であり、決して、できない体ではなかった、ということが証明されました」
満面の笑みでお腹をさする。
「昨日、妊娠していることがわかりました!」
スタッフやアシスタントからの、画面外からの拍手、それに続いて花束が手渡される。
「無事妊娠でき、少し気が早いですが、子供をうむ義務を果たせることに、感激しています。」
なんだって!そんなばかな!
「医師からは、子宮に精液が届かなかったのが大きな原因だと推察されると言われました。ぜひ旦那さんや彼氏さんにも、義務を果たすために、増強手術をおすすめください。ちなみに、12センチ以下は妊娠させにくいというデータがあります。」
12・・・。フル勃起したら、俺は・・・。
「今月から、精子バンクにある在庫も、12センチ以下のちんぽの方の物は、処分されます。」
・・・。
「さて、妊娠初期になってしまったため、子作り教室は来週から少しお休みします。妊娠初期の妊婦への射精は、危険ですから。今日から1ヵ月は、マンネリ化対策と題しまして、セックスに飽きた夫婦の皆様のために、長く続けられる性生活をご紹介していきたいと思います。」
俺は、リモコンを画面に投げ付けてしまった。
真っ暗になった部屋で、深くえぐられた気持ちで、深い闇に落ちていった。
※元投稿はこちら >>