契約彼女6‐2
ドアを開けた向こうは漆黒に包まれていた。
いつもなら、磨りガラスから明かりが洩れていているはずなのに。
しかし玄関には友恵のパンプスがある。
どうやら、先に寝てしまっているようだ。
慎重に靴を脱ぎ、そろりと中に入ると、メインルームへ続く扉をそっと開けた。
「お帰りなさい……ませ……」
「なんだ、起きて……」
そこにいた友恵は、確かに起きていた。
ただ彼女は一糸纏わぬ姿で、四つん這いになり、主人の帰りを待つ犬のように、ドアを開けた直ぐそこにいたのだった。
「お前っ……」
驚く俺を他所に、首に巻かれた真紅の首輪と繋がる鎖の端を、彼女は唇で挟み込む。
まるで床にキスをするかのように顔を下げ、鎖の一端をくわえあげたのだ。
そしてそれを差し出すように、俺に向かって顎を上げ動きを止めた。
「友恵……?」
何だこれは。
何なんだこれはっ。
激しく反応する下半身とは逆に、俺は動揺にも似た感覚を覚えていた。
そんな俺を、赤い顔をした友恵がじっと見詰めている。
忠誠という名の服従を伴わせて。
本当に俺は、友恵を……
コワシテシマッタノカ?
躊躇いつつも、俺の意思と反して右手が伸びていく。
それは友恵の差し出す鎖の一端を掴んでいた。
まるで心と体が……いや、牢獄に囚われた躊躇の心が、加虐心に動かされる体を見せつけられているかのように、意思に反して動く体を視界に入れている。
友恵は自ら俺との距離を縮め、ズボンの上から股間に頬をあてた。
「……牝犬の友恵に、はぁ……チ○ポをご奉仕……させてくださぃ」
頬を擦りつけて懇願する友恵。
彼女の眼差しは服従心を光らせ、それは俺の中にある願望にリンクする。
だが、それに染まりきらない俺の中の何かは、未だに激しく揺さぶられていた。
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