●ダーリン1‐3
決断するまでそれほど時間は要らなかった。
自分でも、自分が形だけの抵抗をしていることに気付いてる。
だって、ここに来た時点で私の中には諦めがあったから……。
抵抗を止めたせいか、頭を掴む手が少し柔らかくなる。
チラッとソレを窺ってみると、相も変わらぬ図太い膨らみが顕在していた。
「ほらっ」
そっちへ向いた私に、彼は面白がってソレを誇示する。
全く別のことを考えるよう……。
固く目を瞑り、そう言い聞かせた。
「ん……」
唇にごわごわした感触が触れる。
その奥に固いモノが……。
違う……これは……そうっ、うまい棒っ!
たこ焼き味を食べた時には衝撃が……
「ん゙ん゙ーっ!」
案の定、理久は私の後頭部を押さえつけ、ソレを擦り付けてくる。
私は口も開けれずに、裏返った叫びを喉から出す他なかった。
「フ……ハハッ」
蔑むような笑いを浴びせ、意外にすんなりと私を解放した理久。
息を止めていた分の酸素を欲して、私は深い呼吸を繰り返していた。
「さ、本番だ」
「っ!!」
有り得ない……。
自然と嫌悪感が生まれてくる。
驚愕に震える私を他所に、彼はスルッと下着を脱ぎ捨てた。
「ぃ……ぃゃ…………」
次に起こることを予測してしまって、上手く声がでない。
それでも必死に拒絶を訴える。
「イイ顔するねぇ」
なに? なに??
頭おかしんじゃない……?!
「くくっ……」
やだっ……いや……
いやぁぁぁぁあ!
声にならない声。
身を引きずりながら後ずさる私の背に、無情にもベッドの縁が触れる。
「フっ……」
冷酷に見下ろす瞳。
頭皮に走る鋭い痛み。
そして……再び頭を掴む、獣の大きな手。
「やれよっ」
首を振るしかできない。
口を開くと、隙間を割って突き入れられそう。
「やれっ!」
頭を押さえ込まれても、私は必死に逃げようとした。
だって、だって……嘘でしょ?
そう思いたいのに、理久の目が私の希望を微塵に砕いてく。
でもでも、私の……初めての……
「っ?!」
い……今…………当たった?
当たった……?
ウソ……ウソだ…………。
「フレンチの次はディープな」
フレンチ?
フレンチって、フレンチキス?
キス?
私……キス、したの?
その問いに誰も答えてはくれない。
その代わり、何故か私は鼻を摘ままれていた。
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