●ダーリン1‐2
気が付くと肩で息をしていた。
沸々と起こってくるこの感情を何とか押さえ、アレに目を遣る。
起こせ、と言われて来たけど、もう随分大きい……。
理久の言っていたことがよくわからず、私はアレを通して彼を起こしたらいいのか、と解釈することにした。
「っ…………」
不自然に膨らんだ部分を人差し指でつついてみると、ソレは小さく跳ねた。
……ちょっと面白い。
今度はツンツンっと二回つついてみた。
「……何やってんだよ」
「えっ?!」
既に起きていたとは……迂闊だった。
こんなモノをつついて面白がっていた自分が恥ずかしくなる。
「あ、いや……えーっと……起きたなら、私はこれで……」
振り返る私の手を彼が掴んだ。
「ダーリンを起こせって言ったろ?」
「……は?」
ダーリンを起こすことは理久を起こすこととは違うらしい。
じゃあどういうこと?
よく意味のわかってない私を面白がりながら、彼はベッドから降りる。
「愛しのダーリンにお目覚めのキスは?」
愛しのダーリンに……お目覚めの、キス……?
……キス?!
「やっ! やだっ! いやぁあ!!」
気付いたときには手遅れで、私は後ろ手に縛り上げられた挙げ句、床に転がされていた。
「大きな声出すなって。夕月に気付かれるだろ?」
そう言いながら、冷淡な笑みを口の端に浮かべる理久。
夕月に気付かれたら、きっとコイツは口封じとかなんとか言って牙を向ける……。
「卑怯者っ」
小さく吠えることしかできない私を見下して、ハハッと意地悪く笑う。
そして彼は、人差し指と親指で器用に私の顎を掴み、無理矢理上へ向けさせた。
「誰のせいだよ」
…………近い。
深い黒の瞳に私の顔が写ってる……。
胸がキュウッと締め付けられて、鼓動が止まる気がした。
何も言い返せない威圧感と、圧迫感。
それと……。
「ほら」
彼の顔が離れて、アソコが迫ってくる。
「キス」
「………………」
「はやくっ」
後頭部を掴まれ、寄せられる。
顔を背ける私の頬にグリグリ押し付けてくる。
屈辱を感じながらも、彼の手からは逃れられない。
もたもたして夕月に気付かれたら、それこそ……。
「くっ……」
私には選択肢など用意されていなかった。
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