車のハンドルを握り、深夜の幹線道路を疾走する。
大排気量エンジンの、心地よい低速トルク。
少し開けた窓から入り込む、秋の冷たい空気。
…。
俺は今、彼女を迎える為、平日のこんな時間に出かけている。
彼女はサービス業に勤めている為、仕事が終わるのは、決まって深夜。
そして、休みの日も限られている。
連休など滅多になく、当然、休みが割り当てられるのも、平日。
そう、明日は彼女の休日だ。
そして、少しでも一緒にいる時間を長くする為、こんな時間に迎えに行く。
しかも都合の良い事に、俺は自営業だ。
家で仕事をしているので、緊急の作業が無ければ、平日の一日ぐらい、
気軽に遊んでいられる。
…。
彼女の家の近くに車を停め、暫く待つ。
…。
小走りで駆け寄ってくる人影。
目一杯のお洒落をし、顔を赤く染めながら、彼女は車に乗り込んできた。
『ご主人様、遅くなってごめんなさい。仕事の片付けが終わらなくて…。』
ちょっとはにかみながら、上目遣いで俺を見る彼女。
『ちゃんと頑張ってきて偉かったね。 良い子、良い子。』
俺は彼女の頭を、優しく撫でる。
彼女は満面の笑顔で、俺の手を押し返すようにすり寄ってきた。
『ご主人様、逢いたかったぁ…。』
…。
これから、彼女の悦ぶ姿を心ゆくまで堪能する、そんな何気ない、
そして、かけがえのない、いつもの一日が始まる…
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