三人と二匹は、自動ドアを抜けて部屋に入った。
十畳ほどの広さのリビングがある。皮張りのソファーが並び全体的に黒を基調に統一されている。BGMには、静かなクラシックが流れている。
ポチは、四つん這いのまま、奥のソファーへと行く。遼子、恵美、和子も後に付いていく。一哉は、和子に引っ張られながら辺りをキョロキョロ不安そうに見回している。
奥のソファーには、赤のロングドレスを身に纏った女性が脚を組んでタバコを燻らせて座っている。
ポチは、その足元に深々と土下座をして
「マダム。遼子女王様、恵美女王様、和子女王様をお連れしました。」
「ポチ…ご苦労様。」
女性は、長い脚を下ろして立ち上がる。身長は170位ある長身だ。しかも、ピンヒールを穿いているためさらに高く見える。
「いらっしゃい。お待ちしてたわ」
女性は、三人に微笑みかける。
遼子も微笑み
「お久しぶりですねマダム。その後お変わりありませんか?」
「えぇ、遼子さんもお元気そうで。」
そんな会話を聞きながら、和子はその女性の美しさに見とれる。
ウェーブのかかった栗色の髪は肩までのセミロング、はっきりした顔立ちはハーフだろうか。年齢は、自分と同じくらいだろうか。濃いめのメイクを施しているが、少しも嫌みがない。むしろ、匂い立つほどの色気を振り撒いている。
遼子は、呆然と女性を見つめている和子をクスリと笑いながら
「和子さん、どうしたの?ふふっ(笑)マダム、こちらは和子さん、私のお友達。和子さん、マダムよ。本名は私も知らないわ。」
マダムは、和子に微笑みながら
「初めまして。和子さん、ようこそいらっしゃいました。」
和子は、赤くなりながら
「お招きありがとうございます。マダム…あまりに御美しすぎて見とれてしまいました…失礼しました。」
マダムは、手を口にあてて
「まぁ!ありがとうございます。」
眼を細めて笑う。
「どうぞ、お座りなって。」
三人は、ソファーに座ると遼子が
「マダムごめんなさい、和子さん、マダムは和子さんより歳上よ(笑)綺麗でしょ!私も初めてお逢いしたとき驚いたわ。」
「えっ?」
和子は、それを聞いてソファーに座り直しながらマダムを見つめ直す。
マダムは笑いながら
「もぅ!遼子さん(笑)」
照れる。そのまま、和子の足元に四つん這いになってる一哉に眼を向けると
「この子は?なんとおっしゃるの?」
和子に聞く。
和子は、グイと鎖を引っ張り
「何をしてるの?ご挨拶は?」
一哉を叱咤する。
一哉は、目の前に座っている。マダムに見とれていた。また、その横に自分と同じ様に四つん這いで佇んでる全頭マスクのポチの全身を興味津々に眺めていた。
首輪を引っ張られて我に返った一哉は
「は・はい!私…バ…バカ犬と申します。宜しくお願い致します。」
マダムに向かって、床に額を擦り付けて深々と土下座をする。
パシッ!!!
和子は、一哉の尻にビンタする!
「バカ犬?名前が足りないでしょ!」
一哉は、狼狽えながら
「申し訳ございません!変態短小包茎チンポのバカ犬です!宜しくお願い致します!」
和子と遼子は大笑いする。
マダムは、高々と上げられた一哉の尻をギラギラと鋭い眼で見ながら微笑むと
「あらあら…ちゃんとご挨拶できるのね。賢いワンちゃんだこと(笑)」
静かに言う。
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