後輩は性奴隷……7‐3
「え?」
俺の家についてからしばらくして、朱音は予期せぬ話を切り出した。
話というよりは、言葉と言った方が正しいかもしれない。
「何も訊かないで。お願い……」
そう言われても、訊かないわけにはいかない。
いきなり「抱いて」と言われても、此方の心持ちがそこに向かないのだから。
「悠、お願い。あの頃のように」
あの頃のようにと言われて思い当たる事は一つ。
意図が全く理解できないが、朱音がそれを望むなら……俺は……。
「……わかった」
携帯というツールは利便性が有りすぎる。
俺たちがアブノーマルとやらに興味を持ち初めたのは高校生の頃だったが、携帯は容易くその世界へ連れていってくれた。
二度と開けることがないと思っていた、それでも捨てきれなかった鞄を取り出す。
アタッシュケースのような形をしたその鞄は、カチッという音で空気を切り裂き、その中身を露にした。
「……まだ持ってたの?」
「あぁ」
退きたければ退けばいい。
プリクラすら避けるほど俺は写真を撮られるのが嫌いだ。
それが祟って、朱音との思い出を残したものは何もない。
だからこそ、逆に写真を撮ることに興味が出てきたのだろう。
「昔と同じ様に、やな?」
「………………」
躊躇いがちに頷く朱音。
俺はそれを見届け、鞄の中に手を入れた。
取り出したものを見て、朱音は目線を泳がせる。
でも俺は見逃さなかった。
彼女の顔は、一瞬満たされた表情を浮かべたことを。
「朱音」
「……はい」
俺の手招きに答え、彼女が此方へ歩み寄る。
親指と人差し指を朱音の顎に当て、軽く上へ向けた。
彼女は素直に従い、俺が手を離しても顎を引くことはない。
朱音の白い首筋に、鮮やかな赤があしらわれていく。
とてもエロティックに照り映えるとともに、その存在を誇示するような違和感や存在感を持っていた。
その作業を終え、一歩下がる。
朱音は俺の所有物。
それを主張する深紅の首輪の縁を、彼女の細い指の先がゆっくりとなぞっていく。
その存在を噛み締めるように。
そしてそれに満足したのか、指先は焦れったいくらいにゆっくりと衣服へ向かっていく。
携帯は利便性が有りすぎる。
まだ高校生だった俺たちに、これだけのツールを手に入れさせた。
もしそんなことがなければ、俺たちは普通の恋人でいられたかもしれない。
晒されていく朱音の肢体を眺めながら、そんな思いが一瞬過った。
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