後輩は性奴隷……7‐12
「……泊まっていい?」
手錠を外すため後ろを向かせた朱音が、小さな声で問い掛ける。
「別にいいけど……?」
手が自由になっても此方を向かない彼女の背中に言った。
「ありがと」
静かに立ち上がった朱音は、自分で首の戒めを外す。
「……捨ててなかったんだね」
「え?……あぁ」
朱音との思い出が形を持って残っているのは、鞄の中の卑猥な玩具だけ。
あとは、あの目覚まし時計くらいだ。
「……シャワー借りるね」
纏められた服を手に浴室へ向かう朱音。
さっきはあんなに見つめられていたのに、今は視線を向けようともしない。
朱音の考えていることがサッパリわからず、徐に煙草に火を点した。
何か試されているのだろうか。
あの頃のように抱かれることで、朱音は何がしたかったんだ?
結局その答えは、寝る段階になっても不明のままだ。
さっきとは打って変わって、甘えるように添い寝する朱音は、俺の思考回路をさらに複雑にさせる。
疲れていたのか、数分後には寝息をたてていた。
なんなんだ、一体。
気色の悪いモヤモヤした感覚を持て余し、明日訊くか、と自己完結させた。
スヤスヤと眠りに落ちている朱音の寝顔は初めて見る。
少女のような幼さを覗かせるその顔は、まるで……
(…………っ?!)
まるで、結衣にそっくりだ。
そう思った瞬間、得体の知れない悪寒のようなものが走り抜けた。
朱音の顔と結衣のイメージが頭の中で重なっていく。
(寝顔は誰にでも似るものなのか?)
自嘲気味の苦笑を噛み殺し、夢の世界へ向かうことにした。
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