後輩は性奴隷……6‐8
「撮るで~っ!」
昼下がりの陽光が川原に降り注ぐ中で、俺は袖を肘まで捲り上げた。
ポカポカと言うには暑すぎる陽気のため、ほとんどの者が川に足を浸してはしゃぎまわっている。
遅れて合流した俺はそのメンバーに加われるはずもなく、撮る側に回ることを強いられ、無理矢理気合いを入れざるを得ない。
カメラを構えてはシャッターを切り、また構えてはシャッターチャンスを探し回る。
(おっ……)
今しがた、なかなか良いカットが撮れたので直ぐに確認してみた。
水を宙へ投げ、降り注いでくるその瞬間をおさめたものだ。
しかし、アングルが後ろからだったので誰かがわからない。
もう一度撮ろうとカメラを構えた時、俺は言葉を失った。
水面が日の光を返してキラキラ輝く。
丁度その位置に立っていた人物は、その光へ手を差し伸べていた。
結衣だ。
髪を左右で結んだ短いツインテールを後ろに流し、腰を屈めたまま此方に気付いて視線を送っていた。
髪型がいつもと違っていたため、すぐに結衣だとは解らなかったらしい。
レンズを挟んで視線が合う。
その瞬間、胸が縮み上がった。
結局シャッターを切れずに、いい画(え)になったであろうその時、俺は固まったまま何もできなかったのだ。
思わず俺はカメラを下ろす。
今の感覚に、とてつもない違和感を抱いていた。
川から届く喧騒が、水の流れる音が、自分の鼓動さえもがフェードアウトしていく。
下げた視線の先に映る地面を、ぼやけていくさっきの映像を探すかのように見つめていた。
「大丈夫?」
肩に置かれた手に、現実の感触が返ってくる。
「……あ、あぁ」
「日にあたったんちゃう?少し休んだら?」
「そー……やな」
覚束無い足取りで木陰に移り、座り込む。
水の流れを聞きながら、どこか腑に落ちない自分を感じていた。
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