後輩は性奴隷……9‐4
「ホントだっ。これなら私も飲めます」
新たな発見をしたように、結衣は小さく声を上げた。
「もう一口だけっ」
と懇願する結衣に、
「買ったろか?」
と提案するも
「これがいいんですっ」
と言い張る。
「いや、そりゃおんなじやつ買うに決まってるやん。そこに自販あるし」
「違います。こ・れ・が、いいんです」
彼女は缶を指差して強調した。
無論、意味がわからない。
「あー……んじゃ、そ・れ・を、やるわ」
俺は新たな一本を買うべく腰を上げた。
「授業ですか?」
「いや?4限は空き」
「え?じゃあどこに?」
「コーヒー買おうおもて……」
そう返すと、結衣は
「もういいです」
と呟いて、俺の座っていた所に缶を置いた。
「……は?」
なんじゃこりゃ。
結衣は何がしたいんだ。
取り敢えず、缶を持ち上げて腰を据える。
「そう言えば、恋してんの?」
「はいっ」
ムスッとした雰囲気を晴らして、明るい表情で答える結衣。
「誰なん?」
「先輩です」
「ふ~ん」
と返しながらコーヒーを啜る。
「何回生?」
「……3回生です」
何故か声のトーンを落ちている結衣。
「って言うか、普通今の流れで気付きません?」
なんで結衣はこんなに不機嫌なんだろう。
流れと言っても、いまいちピンと……
「……まさか」
思わず声を洩らしたとき、結衣は深く頷いた。
「宣戦布告します」
「え?」
「私は、あなたが好きです」
真っ直ぐに俺を見つめる視線に、胸が縮み上がる。
「告白、じゃなくて?」
「違います」
彼女は少し睨むように俺を見て
「宣戦布告なんです」
と念を押した。
「でも、俺はそれには答えられない」
「今は要りません。わかってますし」
何故か満面の笑みを浮かべる結衣。
「まだ出撃し始めたところですし」
「出撃?」
「はいっ」
微笑みで真意を揉み消す結衣は、
「と言うわけで、それ、飲んでいいですか?」
と問いかけてくる。
「え?あ、あぁ……」
呆気にとられる俺を余所に、缶コーヒーを受け取った結衣は、それに口を付け喉を鳴らした。
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