後輩は性奴隷……8‐4
昨夜買ってきた水一口含み、飲み下す結衣。
「うぅ……」
頭が痛いのか、彼女は左手をそこへあてた。
「いっちょ前に二日酔いか」
「すみません……」
しょんぼりと肩を落とした結衣は、申し訳なさそうな視線を送ってくる。
「冗談やてっ」
こっちが申し訳なくなってきて、堪らず言い繕う。
「私、何か変なこと言ってました?」
そりゃあもう。
宣戦布告とか作戦がどうとか、果ては「前の人と同じ様に」とか……は違うか。
それをそのまま伝えると、結衣は何故か安堵の表情を浮かべた。
その事には触れず、
「どういう意味なん?」
と尋ねてみる。
結衣はニコリと笑って
「まんまです」
と答えた。
「へー……」
素面でも軽くあしらわれるのだから、それ以上言及する気は起きない。
「あの……」
「なん?」
「今日、暇ですか?」
「……暇だと悪いか?」
飲み会の次の日なので、念のために休みをとっている。
まぁ、こうなるとわかっていれば、出勤してもよかったかな……。
「実は、服を買いに行きたいんですけど」
「……けど?」
左の手の平を首筋にあてた結衣は、その手を下ろして顔を赤くした。
「方向音痴で……」
「つまり……付き合えと?」
小さく頷く結衣。
「それは構わんけど、頭は?」
「大分マシになりました」
「そうか」
4月は色々とありすぎて、ここらで一息ついておくのもいいかもしれない。
頭を使いっぱなしではショートしてしまうからな。
結衣の体調の様子を見て、俺たちは昼過ぎに繁華街へ出た。
「いいお店知りません?」
「レディースはわからんなぁ……」
とかやり取りしつつ、人の流れに紛れて歩き回る。
「あそこに入ってみましょう!」
結衣の指差す先には大きな建物がある。
「あそこ?」
ホームセンターですが……?
俺の疑念を余所に、結衣は入り口をくぐっていく。
少し遅れてその後を追った。
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