後輩は性奴隷……8‐3
カクテルはとても飲みやすい。
酒が苦手な人でもジュース感覚でグビグビいける。
だが、そのせいで限界を見誤ることもしばしば。
アルコールが回り始めるのにタイムラグがあるため、飲みすぎたと思ったときには既に遅いのである。
それがわかってない人は、大抵今の結衣みたいになる。
「ぎ……ぎもぢ悪い……」
「もうちょい粘れ」
言わんこっちゃない。
タクシーの後部座席で悶えている結衣の横で、俺は頭を抱えた。
「急ぎましょうか?」
バックミラー越しに目線を向けるドライバー。
「いえいえ!なるべく揺れないようにお願いしますっ」
鏡越しに目線を合わせ、謝罪の念を送る。
他の奴らはカラオケに向かい、俺はおもりに回されたわけだが、こうなるまで呑んだ結衣の心境が理解できない。
「うぅっ」
「おいおい……」
思わず背中を擦ってやる。
が、効果があるのかどうか……。
背中に滑べらせる手の感触で、結衣が下着を着けてないのがわかる。
……って、何考えてんだ俺は。
宣戦布告ということは、何かを決断するということなのか?
直接的な意味で考えると、誰かに何かを挑むということ。
でも誰に?
真里か?
そのメリットとしては、俺を独り占めできること……?
いや、でも結衣が俺に執着する理由がわからない。
「うっ……」
「おい大丈夫か?」
ダメだ。
考えることに集中できない。
結局、考えはまとまらないままにタクシーは目的地に着いた。
まぁ、俺の家なのだが。
「……すみません」
そう言って、崩れるようにベッドへ倒れ込む結衣。
「お前、変やぞ」
ベッドを背もたれに、炬燵に向かって座り込む俺。
「何かあったんか?」
煙草に手を伸ばしながら訊いてみる。
「わらし、わかったんれす」
呂律回ってませんよ、結衣さん。
「なにがわか「うぅっ……」
もう吐いちまえ。
その方が楽になるって。
「取り敢えず、水とウコ○の力買ってくるから」
「ずみまぜん……」
俺が戻ってきたときには、結衣は予想通り寝息を立てていた。
「はぁ……」
布団をかけてやりながら、今日の彼女の言動を振り返る。
そんな俺の心境も露知らず眠りに就いている結衣の顔は、やっぱり朱音のそれに似ていた。
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