後輩は性奴隷……10‐4
開かれたドア。
それは手の支えを無くし、勢いそのままに大きな音を轟かせて閉じられた。
俺は言葉を失っていた。
真里は背後の玄関を振り返ったまま微動だにしない。
そして、ドアを開けた張本人である結衣もまた固まっていた。
「……こんばんは」
真里の漸く捻り出した言葉に
「こ、こんばんは……」
と躊躇いがちに応答する結衣。
「私……邪魔、だったりします?」
「え?」
結衣に訊かれ、俺は真里に視線を遣った。
「…………え?」
と声を洩らした真里は、問いかけるように結衣に目線を送る。
「えっ?」
尋ねたはずの疑問が目線を経て返えされた結衣は、どうしていいかわからないといったように俺に瞳を向けた。
そもそも俺は真里に訪ねられてきた身なので、彼女がどうか判断するのが筋ではなかろうか。
しかし、触り程度に聞いた用事の内容は、いずれ結衣に話そうと思っていたこと。
結衣がこの場に居てくれた方が、俺にはむしろ都合が良い。
「取り敢えず、上がったら?」
と提案すると、結衣は躊躇いながらもそれに従った。
股下何センチも無さそうなデニム地のショートパンツと、それを隠すか隠さないか程度の丈があるノースリーブの白いワンピース。
それに薄いオレンジの、可愛らしいブラウスを羽織った結衣。
「服、着替えたん?」
上着はまだいいとして、ショートパンツというのは珍しい。
そもそも、スカート以外の結衣を見たのは初めてだ。
「この前買ったんですよっ。どう……ですか?」
どうって……パンツから伸びる生足が、こう、とてつもなく卑猥だ。
普通の状態ではワンピースの下に何も着けていないように見える格好も、鼻の下を伸ばすには十分な刺激になっている。
男にどういう目で見られているのか、結衣はもっと意識した方が良い。
「ファッションとかよくわからんわ」
俺の感想を聞きながら、真里の向かい側に座る結衣。
「そうですか……」
萎んだ声で呟いた結衣は、どうしたら良いのかわからないと瞳を忙しなく動かしている。
無論、俺の感想にではなく、この何とも言えない空気に対してのものだろう。
「で……ほんのちょっと何がわかったって?」
一息入れてから真里に投げ掛け、話題を戻した。
俺たち三人にとって、とても大事な本題に。
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