後輩は性奴隷……10‐2
最低だ。
俺は無意味に人を傷付けている。
結衣に辛くあたったり、真里をその気にさせたり……。
そんな自己批判を繰り返して、気付けば部室に戻っていた。
「タイミング悪ぅー」
そんな非難の声を浴びせられた。
「……は?なにが?」
「今さっき、カメラマンのバイト探してるって人が来てな」
「へー」
「新歓の写真を何枚か見せてんけど、お前の写真が気に入ったらしくてな」
「俺の?なんの写真?」
と訊きながら、友人の向かいに腰をかける。
彼は長机の上のファイルをペラペラやり、
「ここらへんのやつ」
と指で囲った。
花見の様子をおさめたものだ。
「ふーん……」
さっきのこともあって、自分のショットが誉められたと聞いても、あまりテンションが上がらない。
「まぁ、どうするか知らんけど、明日の昼休みに来るらしいから直接会って話してみたら?」
「めんどくせー」
コンビニのバイトをやっているので、断る方へ気持ちは傾いている。
「名前は?」
「あっ!聞くの忘れたっ!」
お前なぁ……。
「3回生って言ってたわ」
「え、学生なんか?」
「おー。その人もそこでバイトしてんねんて。カメラマンやった人が就活で忙しいから、卒業する前に次の代を探してるっつってわ」
カメラマンだった人が、という言い回しから、その人はカメラマンではないのだろう。
まぁ、深く追求する気はない。
どうせ断るのだから。
「ちゃんと言うたで~」
と念を押すと、友人はパソコンで編集作業を始めた。
俺は喫煙前と同じ様に、レポートの資料整理に追われる。
そうしているうちに、バイトの話などは頭の片隅に追いやられていった。
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