後輩は性奴隷……10‐12
明かりを落とした部屋には、夜が溢れ返っている。
秒針が静けさに刻まれる中で、不意に真里が口を開いた。
「……結衣ちゃん」
「はい……?」
左から結衣が声を返す。
「頑張ってね。私、応援してるから」
右側にいる真里が照れ臭そうにそう伝えた。
ベッドの真ん中で二人の間に挟まれている俺は、寝たフリでもしようかと目を閉じる。
俺の意思は決まっているし、この会話を聞くのは辛いものがあったから。
「…………」
結衣は無言だったが、暫くして
「どうしてですか?」
と真里に尋ねた。
「だってさ……」
少し言葉を詰まらせる真里。
髪が肌をくすぐった感触から、結衣の方へ顔を寄せたのだろう。
「私が悠さんのセフレになっても許してくれそうだし」
……話が違いませんか?
「そ、それは先輩が決めることですっ」
結衣は少しムッとしたような声色だった。
だがやはり
「私は性奴隷ですから」
と続ける。
「付き合っても?」
「はいっ」
真里の疑問に即答を下す結衣。
「体も心も、ご主人様の先輩がいいんですよ」
「ふ~ん、なるほど……じゃあ大丈夫かな」
「な、何がですか?」
「セフレ?」
その理由は、真里曰く
「3人の方が気持ち良さそうだもん、悠さん」
だそうだ。
まぁ、確かにそれはそれでそうなのだが……。
真里が何処まで本気なのかはわからない。
だが、次の日の朝、俺たちが起きた時には彼女の姿はなかった。
残っていたのは『二人ともありがとう』と記されたメモ用紙、ただ一枚だけ。
少し肌寒い朝に包まれた中で、俺は鋭い胸の痛みに襲われていた。
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