後輩は性奴隷……3‐5
朝目覚めると、そこに結衣は居なかった。
シャワーを浴びに帰ったのか、1限から授業だったのか……いずれにせよ、生暖かい春の日射しだけが部屋を包んでいた。
取り敢えず服を着て、ベッドから身を下ろす。
半覚醒の中煙草に火を点け、長い息を吐いた。
瞬く間に煙が部屋を覆い、ヤニ臭ささが立ち込めていく。
(なんで……)
なんで一瞬でも、俺はあんなことを……。
無意識の内に目線をクローゼット型の収納スペースへ遣っていた。
その中には、引っ越した当時から触れられていないアタッシュケースのような物がある。
もう開けることはないだろう。
そう思いながらも、どうしても捨てることはできなかった代物だ。
でも、結衣なら……。
(…………いや)
一瞬脳裏を過ったその考えを押し殺すように、煙草を灰皿で揉み消した。
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