期待に胸を躍らせながら部屋に戻り映像を、にんまりと確認する浩一は愕然とした。〈なっ……なんで!?えっ…〉映像は確かに録れているには撮れていたのだが、明るさのせいか以前他のBOXで確認した時と違い全体的に黒く映りこんでようやく身体の全体像が確認できる程度だったのだ。 〈なんなんだよ!くそっ、前はちゃんと撮れてたはずなのに…〉 再度深夜にも関わらず、取扱書を確認するも結局その日はわからずじまいのままであった。 翌日浩一はいつも書き込みをする掲示板で、カメラについて質問し、結果サポートセンターたるとこに聞きながら設定変更等を終える。苦労のかいあってか、その日の夜にターゲットの男性時の姿を鮮明に映像にとらえる事が出来たのである〈これじゃあんまし意味ないけど、まぁ前進だよな〉 その数日後のバレンタインデーに浩一は携帯電話会社の明細を手に入れたのだった。すぐさま電話しようとした浩一の脳裏を時たま耳にする、いたずら電話を何回かけただかで捕まっているニュースが頭をよぎった〈当然そいつらも非通知でかけてるだろうし…非通知でもバレたりするのかな?〉その不安はK氏とのやりとりで、ひとまずは収まり電話を非通知でかけてみる。話す内容は当然頭の中では出来上がっていた。しかしまたもや、ここで壁にぶつかる…非通知拒否をしていたのだ。ただし浩一にとって、これは予測の範疇であり携帯番号と契約者名(おそらくターゲット本人)を手に入れた事は大きなアドバンテージであった。
いつもの掲示板を見てみると非常に興味深いメッセージがあり、その方とやりとりをする事になった。書き込みの内容はひょっとしたら、その女装娘の事がわかるかもしれないので…協力できるかもというものであった。そのY氏とやりとりしたところ、結果同一の女装娘ではなかったが、同じ仲間がいるようで俄然浩一の気持ちは奮い立ってきた
執拗にターゲットの動向を伺う生活の為、ここ暫く外出すら減ってきた浩一にとって、家でオリンピックを見るのが日課になってきたいた。生活リズムはおかげで滅茶苦茶である。ある朝浩一はふとターゲットが駐車場に入っていくのを確認すると、思いきって自分も駐車場(ターゲットとは逆方向であるが)に向かいエンジンをかける。〈尾行してみるかな〉マンションそばの信号待ちをしているターゲットの車につけた。〈真後ろはちょっとまずいかな…〉ターゲットの車はそのまま国道17号へ。三車線を一つずらしながら、隣の市まで〈時間的に職場に向かってるな〉途中大きな交差点にさしかかったところで〈しまった!〉ターゲットは右車線で、浩一は中央車線。割り込みかけるも信号止めをくらう。案の定次の信号で曲がるがターゲットの車は全く確認できなくなっていた。〈でも、通勤?ルートならそう変わる事もないだろうし。次に繋がると思えばな〉 尾行失敗のその日、オリンピック選手も靴ひもで失敗していた。〈まぬけだなぁ~段取りくらいしっかりしろよ〉夜になりターゲットが駐車場に入ってくるも結果この日は動きなし。
そして、ついに大きな成果を収める日が訪れたのである。
尾行失敗の翌日、夜23時すぎターゲットが車で出掛けたのである。〈よしっ!今日こそは!!!〉 それから二時間程たった深夜2時前、ターゲットの車が駐車場に…期待どうりウィッグにスカート姿! 浩一は、またもや部屋のドア音確認してからビデオの回収に向かうそつのなさをみせ、部屋で映像を確認する。〈はは!やった!もろバッチリじゃん!よし!よし!よし!ハッハッハッハ〉
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