携帯を開き着信メールを操作すると一番上に「本日の命令」というタイトルが目に飛込んできた。
「ああ…」
タイトルの文字を読んだだけなのに怜子は無意識の内に淫眉な吐息をもらした。まるで、パブロフの実験の犬のように体が条件反射するようになってしまった。
期待に乳首が立ち上がってくるのが自分でもわかる。まるで別の人格に変身していくかのように。
「昨日は私の命令に従ってくれたようだね?怜子さん。初めて入ったアダルトショップで、見知らぬ男性にジロジロ見られただけでそんなにはしたなく濡らしてしまったなんて…あなたは本当にすけべな人妻ですね。」
出来れば怜子は旦那と同じように昼夜を逆転させた生活をしたかったが、買い物や洗濯など日々の暮らしではそうもいかない。
旦那が眠っている間はなるだけ一緒にいたかったこともあり、お昼もあまり出歩かないようにしていたため、近所では家庭的で可愛いい奥さまと評判が立った。
早めの夕飯を済ませ、旦那を見送った後は怜子は一人で過ごさなくてはならない。健全な30歳の女性なら誰もがそうであるように怜子もアダルトサイトを覗いて暇をつぶしたりした。
その中のひとつに怜子を惹き付けるサイトがあった。そこでは、露出・痴漢・スワップなどをテーマにたくさんの男女が情報を交換しあっていた。こんなことが実際に行われている事実に最初は驚いたが、特に露出写真を見知らぬ男性にさらけだし、感想を聞いて悦ぶ女性に興味が湧いた。というよりも嫉妬のような感情を持ってしまっていることに気付いたのだ。
「調教されてみたい」興味本位でそんなタイトルの書き込みを怜子が実行するまでそれほど時間はかからなかった。ネット上の戯れ程度と鷹をくくっていた。
びっくりするほどのメールが届き始め、怜子はすぐに書き込みを削除した。その一番最後に届いたメールがよしきからのものであった。あれから三ヶ月が経っていた。
昨夜、怜子はよしきの命令に従い初めてアダルトショップで買い物をした。しかも下着をつけずにという恥ずかしい指示も守って…。
初めて入った店内には様々な玩具が陳列されていた。ネットやコミックで見たことがあるものから、一体何に使うのか見当もつかないものまで、様々な商品が並んでいたが、ひとつだけ言えるのは、どれも男女がセックスを楽しむための道具らしい淫らな空気を身にまとっていたということだ。その空気はまた、それだけの数の性行為を怜子にイメージさせた。もちろん事前によしきが品定めをしながらそのようなイメージを持つようにと怜子に仕込んだからだが。
そんな店に一人で入ってきた女性…しかも黒髪をショートにした清楚な雰囲気の怜子に当然店内の視線が集中する。怜子が下着を着けていないことは外からはわからないのだが、まるで裸の自分を見られているような錯覚を覚えてしまう。恥ずかしさがこみあげてくるが、それ以上の快感に頭を支配されてしまい、怜子はまた自分の願望を確認することとなってしまった。
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