ピンポーーン
私は間延びしたチャイムの音にハッと我に返り慌てて手を離す。
無事に着いてホッとしたのか、それともこれから始まる調教に対して緊張しているのか私には解らない。
ただ時間が一瞬止まったかのような変な感じがした。
勿論間延びしたチャイムの音を部屋の中に居たご主人様も聞いており白い扉が開いた。
そしてご主人様が紳士的対応で私を部屋へ迎え入れた。
「こんにちは、よく来たね」
「いえいえ。ご主人様、こんにちは」
涼しい部屋。入った瞬間小さくクシュンと崩れたくしゃみが出た。照れ隠しで顔をタオルで拭く真似をして隠し「ンフフフフ」と笑ってしまう。
だがご主人様は私がくしゃみをしたことも、笑ったことも気がついていない様子だった。
私は汗を片手で拭いながら、サンダルをもう一方で脱ぎ、揃えてから部屋の中へ歩を進めていく。
「今日も暑いねー…。エアコンの温度自由に下げて良いから。っていうかこの時期ジャケットは暑いだろ」
笑いながらご主人様がそう言う。私は首を縦に動かして答えた。
確かに暑い。間違いない。暑かったら涼しい服をと思うのだが、次の日に備えて暑さに慣れておこうという意味合いを込めての服装だった。
「まぁジャケットぐらい脱いだら?」
「はい」
インナーは袖が無い白のノースリーブ。そしてジャケットには汗滲みが直接つかないようにポリエステルの裏地が付いている。
これがまたなんとも脱ぎにくい。袖を引っ張っても簡単に脱げそうにない。
「んー…、んー…」
ジタバタと茂垣ながら何とかジャケットを脱いだ。そしてご主人様に失礼ながらも背を向けて背もたれにジャケットを掛ける。
そのすぐ後ご主人様はそれまで仕事をしていた手を止め、椅子から立ち上がり後ろから私をぎゅっと抱きしめた。
「きゃ…」
吃驚したのと嬉しさが混じり私は小さく声を上げる。そしてご主人様からのフレンチキス。
それだけで私は目が蕩けた。
「手を上げて、アレ見せてご覧」
私はおずおずと手を上げる。
実は前回に約束を破った罰として、また童顔なために(若干強制的ではあるが)大人としての成長を見るため腋毛を伸ばすように二週間前にご命令があった。
電車ではつり革に捉まる事を躊躇し、夏でありながら半袖を着る事も躊躇った。
処理をするのは当然の事だと思っていたし、処理をしない事が有り得ないと思っていた。
「ほら、もっと手を上げなさい」
だが今の私は違う。
処理をしない事が有り得ないと思っていた私の腋毛は伸びている。
もたもたしているとギュッとご主人様に強い力で腕を掴まれ、そのまま上げられた。
唇をギュッと噛み、恥ずかしさで声が出るのを堪えた。
自分で見ないようにギュッと目も閉じた。
「記念写真、撮ろうか」
最初は余計な事を言わないご主人様の優しさ。ご主人様の言葉を聞き再び目を開ける。
そしてご主人様の目をふと見た時に気がついた。私を見るその目は決して厳しい目ではなく小動物を見るようなとても優しい目であった。
私は恥ずかしさで「いや…」と言ってしまった。
ご主人様が一旦離れて携帯を片手に戻ってくる。
私はその様子を腕を下ろし目で追っていた。
「ほら、腕上げて」
「…はい」
そう言われ、腕をゆっくり上げた。
ご主人様が見ている…、そう思うだけで私は恥ずかしくも蜜を滴らせた。
「もう少し上げなさい」
腕を上げるとご主人様がそっと手を添えくれた。くすぐったくて恥ずかしくて、赤面は止まらない。
それなのに何故か身体が反応を示す。口から熱い吐息が漏れ、陰部は蜜で濡らした。
携帯のシャッターの音が響く。近くからパシャッ…、少し離れてパシャッ…。
その音が私の気持ちを昂ぶらせる。
「良いよ、素敵だ。子供みたいなおま×ことのギャップ、恥らうお前…」
「んん…。駄目です、恥ずかしい…」
目を開けるといつの間にかご主人様は離れていた。勿論途中からは腕も自由だった。
だが私は目を開けるまで腕を上げたまま赤面しながら息を荒げていた。
「…いい子だ」
その一言で緊張が解けたのか急にくしゃみが出た。
恥ずかしくてくしゃみをした時に閉じた目が開けられない。
私はそのまま床にしゃがみこんだ。
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