「2400秒の奇跡 - 第3章 前編」
ホテルの車寄せでKさんの車を降りたのは夜中の1時になろうとしていた。
7人の視線に晒されながら下着を脱いだり、オナニーをするという行為は穂佳には心地良い疲労感と感じたのだろうか?
オナニーの最中に見せた奴隷Mらしい恍惚の表現から一転、ホテルの部屋に戻ったときには恥じらいを残した穏やかな表情を浮かべている。
「暑かったし、喉が渇いただろう?」
ミネラルウォーターを口に含み、そのまま唇を重ね直接流し込んでやる。
「一緒にシャワーを浴びよう、褒美に洗ってやる」
「いえ御主人様、私が洗って差し上げます」
「そうか、じゃあ浴衣を脱ぎなさい」
穂佳は、窓際の電気スタンドのフレームに浴衣用衣紋掛けセットし浴衣を脱ぐ。その姿を後からスマートフォンのカメラで納める。白い裸体が32階の夜景に溶け込む様子を見ると無性に縛りたいという感情が沸き上がる。
束に結われた赤い縄を後ろ手に隠し持ち、全裸で脱いだばかりの浴衣を衣紋掛け上で整える穂佳に近付く。縄を持っていない左手を穂佳の乳房の下に回し、首筋に唇を当てる。
浴衣を整える手を止め、仰け反るように身体を預けてくる穂佳を受け止めながら、縄で乳房の下を縛り付ける。目を閉じて身体を預けた穂佳は手の感触以外の物が触れた驚きに目を開ける。視界に捉えた赤い縄に全身に緊張感を走らせる。
所謂、破壊願望とでも言えば説明がつくだろうか?本来の形を崩すように締め上げる。例えば、乳房であれば頂点の乳首を押し潰し、乳房の原形が解らなくなるほどに醜く、そしていやらしく締め上げる。そして、今まで見たこともない自らの乳房の形に驚愕するM女の表情を楽しむ。そんな縄化粧が好きな緊縛だ。
しかし、1日おれのために浴衣姿で過ごしてくれた穂佳には、彼女の乳房の形に沿った縛りでFカップというたわわに実った果実の形を強調してやりたいと感じた。
「穂佳、芸術作品の完成だ。鏡に映して見ようか?」
縛られることを予測もできない中、突然縄で緊縛された驚きと、一方で縛られたいと願っていたことが叶えられた喜びが混じり合った複雑な表情でコクりと頷く。
バスルームの大きな鏡の正面に立たせ、鏡に映る上半身を緊縛された女を鏡越しに写真を撮る。鏡の中の自身の姿をうっとりと見つめるでもなく、バスルームに鳴り響くシャッター音に反応するでもなく、どちらかと言えば無表情とも思える表情で鏡の中の分身を見つめ続ける。それは、一切の抵抗や反抗を禁じられたことを悟った本物の奴隷の表情であり姿だった。
「ほら、しっかりと見て、目に焼き付けるんだ。縄で緊縛された奴隷Mの姿を」
縄により一段と強調された乳房を強く鷲掴みにしながら、そしてその乳房の写真をアップで撮りながら奴隷Mであることを鏡の中の分身を見ることで悟らせる。
固く突起した乳首を円を描くように弾きながら、おれは自らが施した縄化粧を指でなぞる。時折、ビクンと身体を震わせるものの喘ぎ声ひとつ出すことが出来ずにいる。
乳房から腹、腹から剃毛されたすべすべのデルタと指を滑らせると、そこはたっぷりの蜜を溢れさせ指先に火傷しそうなほど熱い熱を伝える。それでも喘ぎ声を出せずに快楽を我慢するかのように固く唇を閉じ、上半身を仰け反らせる奴隷M子穂佳に聖水を浴びせ、飲ませたい願望に襲われた。
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