「2400秒の奇跡 - 第2章 前編」
穂佳の紺色の浴衣の胸元を舞うように動くEさんの白くしなやかな指先は、今後、穂佳が女同士の絡みを経験することを思い浮かべるには十分なものだった。
だが残念なことにH氏とEさんカップルの時間は限られていたため、差し入れとして持参頂いたフォションのフルーツゼリーをご馳走になり別れることに。
夜はまだ長く、数日前から相談していた花火をしながら穂佳の浴衣姿を晒すことを実行に移すことに、その道すがらに準備した下着を置きながら。
ここで登場いただいたのはH氏と同様、穂佳のお披露目に立ち会ってもらったHさんである。その風貌や情報量から、まるでスパイ小説に出てくるインフォーマー(情報屋)を思い起こさせる人である。
Hさんのアイディアでホテルから程近い公園を拠点に花火と「置き」をすることに決め「奴隷M子の置きデビュー」というタイトルでスレッドを立て、ホテルを出発する。
ホテルの部屋からロビーフロアに降りる高層階用のエレベーターは高所恐怖症の穂佳にとっては辛い瞬間であるが、置きというイベントへの緊張感が重なったようである。その理由は参加者が集まるかという不安、そして募集スレッドで告知したゲッターへの「オナ見せ」への不安である。
エレベーターを乗り継ぎ駅を横切る長いコンコースに出ると金曜日のせいか夜中近いというのにかなりの人が往来している。緊張を解すというより「オナ見せ」への心の準備をさせるために歩きながら胸や尻を触る。下着を着けず、また長襦袢も脱がしているため身に付けているのは浴衣と帯だけになる。
後で男性グループの話し声が聞こえれば尻を触り、前から浴衣姿を凝視する者がいればそれが男だろうと女だろうとカップルだろうと胸を触るところを見せ付け視線を集める。
駅を横切る長いコンコース、駅前のロータリーを抜け、駅から通ずるメインストリートのコンビニに立ち寄る。花火を仕入れるためだが、残念なことに花火は売っていない。せっかくの浴衣姿なのに仕方ない。
花火を諦めメインストリートから公園に向かう路地に入ると節電のためか通りは暗い。そんな中、パーキングタワーが薄っすらとした灯りを放つのが見える。近付くとターンテーブルの脇にオレンジのコーンが置かれている。
「このコーンの下に置くのはどうかな?」
この場所ならヒントも出し易いと感じインフォーマーHさんに尋ねる。
「ここだと簡単過ぎて、直ぐに見つけられると思いますよ」
自身もゲッターとして置きイベントに参加する経験からそう主張する。
「見つけてもらい穂佳にオナニーさせるのが目的だから。いいな穂佳?」
緊張感を隠しながら頷く穂佳にコーンの脇に立つよう指示し、ヒント用の写真を撮る。この時、スレッドを確認すると数人の参加意向のレスが書き込まれ、既に公園に到着しているという人もいる。
誰も参加しないかもしれないという不安は無くなった代わりに、熱く刺すような視線を浴びながらするオナニーへの不安が穂佳にのし掛かったようだ。
「さあ、急ぎましょう」
インフォーマーH氏の言葉に促され公園に向けて歩き出す。不安を消すためか穂佳は強く腕を絡めてくる、乳房の感触が強く右腕に感じられる程に。
公園に近付くと数人の男性の人影が散らばっているのが窺える。そして中央の遊具から延びた滑り台に腰掛けると、まるで磁石に吸い寄せられたように人影が集まる、これから始まる物語に期待するかのように。。。。。
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