その後すぐにノックの音がする。
二名の単独男性と、一組のカップルがゲストで来ると聞いていたので
次はカップルが来ることが分かっていた。
ジャズクラブにでもいそうな一組のカップルがドアの前に立っていた。
男性がグレッグ氏に重たそうなビニール袋を渡して、二人はドアの内側へ。
「ほら、来てくれたんだから、挨拶をして…?」
私はグレッグ氏に促されるまま、お辞儀をする。
「あの…初めまして、トパゾスです…」
「初めまして」
落ち着いた男性の声に続き、女性もはじめまして、と伝えてくれた。
グレッグ氏がホテルの中へ誘導する。
二人目の男性の差し入れで頂いたシュークリームと、
カップルさんが差し入れてくれた飲み物で、乾杯をする事になった。
グレッグ氏と私は靴を履かずに、氷を取りに行く。
ドアは半開き。廊下に出て、手を取ってもらって、ゆっくりと歩いた。
途中で止まって「忘れて、楽しめばいいよ…」
そう耳打ちをしてもらった。そして、唇を触れ合わせる。
部屋に戻ると、グラスに氷を入れ、飲み物とシュークリームで乾杯。
私は「夢の夜」になることを、ただひたすら心の中で願いながら…。
乾杯の後、色々と話したと思う。
ただ私は、心ここに非ず、という状態で、話した内容は大して覚えていない。
だが、一つだけ覚えているフレーズがある。
「先にご褒美をもらっちゃったから、しっかり頑張らないとね!」
という、グレッグ氏の言葉。
心臓が高鳴り、食べていたシュークリームを吹き出しそうになった。
その様子だけは鮮明に覚えている。
食べ終わるや否や、また耳にそっと触れるグレッグ氏。
「…ん…はん…」
皆が見ている前で、はしたない声が出る。
私のエロのスイッチはそこだ、と逢ってから二時間もしないのに、既に知られていた。
「食べているときと、がらりと表情が変わるね…」
誰かが言った。
見ないで、と思う反面、もっと見てほしい、と心の奥底で願った。
それを見破ったかのように、グレッグ氏が耳元で
「女性に胸を触ってもらうか?」
と囁いた。私は声に出せなかったが、頭を縦に下げ、お願いをした。
女性にグレッグ氏が頼む。
目を瞑っていたもののすぐに女性が来る気配を感じ取り、頭の中が再び真っ白になった。
既に敏感になっている私に、グラスで冷たくなった手がそっと触れる。
「きゃ…ッ!」
予想以上に細い指が私の乳房に触れた瞬間、私は小さく悲鳴を上げた。
(女性が触ってる…、醜い私を…ッ)
そう思うだけで、怖くも、嬉しくも、いやらしい気持ちになった。
女性は私の乳房の重みを確かめるかのように、手を上下させる。
それに合わせて私の乳房も揺れる。
(き、気持ちいい…)
私は無意識のうちに「女性が女性の乳房を触り、それを複数の男性が同時に視姦している」
という状況を脳内で描き、自身を一層高めた。
グレッグ氏がぽつりと女性に問う。
「僕もまだ触れてないけど…、どう?」
間髪入れずに
「若いっていいね、垂れてない!」
とコメントした。私はとっても恥ずかしくて、おそらく赤面していたと思う。
私の身体が、まだ何か次なる展開を求めたが、女性は離れていった。
私は眼を開け、身を整える。
グレッグ氏が「公園にいく?」と耳元で尋ねる。
小さな声で私が、はい、と答える。
その答えを聞いた一人の男性が「ここからなら○×公園が良いと思いますよ」と提案した。
グレッグ氏が皆に聞いた所、男性の方々の意見は一致し、その公園に行くことになった。
(因みに、私ももう一人の女性も、夜の公園に出向いたことはなく、どういう状況になるのかということが全く理解できなかった。)
グレッグ氏と私は、カップルさんの車に乗せて頂いて、二人の男性はタクシー移動となった。
待ち合わせ場所、おおよその時間は部屋を出る前に決めた。
エレベーター前。私は、自分がかなり高い場所にいることを思い出した。たじろぐ私を察したのか、グレッグ氏が腰に手をまわしてくれた。
(きっと優しい方なんだな…)
と思った次の瞬間、スカートがたくし上げられた。
振り返った時、エレベーターが丁度この階に来た。
恐らく私は変な顔をしていたと思う。
「うぅぅ…」
不服そうな声と私の顔を見たグレッグ氏は再び腰に手を回す。
スカートがまたたくし上げられるのではないか、と少し警戒したが、今度はずっと支えてくれていた。
凄く怖かったエレベーターが、ほんの少しだけ好きになった。
地下駐車場に着き、車に乗り込んだ。初めて乗る車は、なんだかとても緊張する。
固まっていた私にシートベルトを装着してもらい、発車。
帰りが丸秘ドライブになるとは、思いもしていなかったが、景色を見るのが好きな私は、
窓から見える景色をきょろきょろしながら、街の明かりを楽しんだ。
「ここが××公園で…」
運転席に乗る男性が、とある公園を指差した。
次々と説明をしていかれたのだが、やはり私の耳には何も残っていない。
グレッグ氏が耳元で「おしっこは我慢出来る?」と尋ねた。
本当はグレッグ氏に逢う前から、ずっとトイレに行きたかったのだが時間が無かったため、ひたすら我慢をしていた。
乾杯もしているので、もう尿意は我慢の限界が近づいていた。
それでも悟られたくはなかったので、出来ます、と短く言った。
暫くすると車は大きな公園の所で止まる。
「到着しました、お疲れ様です」
グレッグ氏にドアを開けてもらい、手を借り降りる。
夜と言う事もあり、人は少ないであろうと思っていたのだが、さすがは街中。
見渡すと、沢山の人がいた。
「もうそろそろ来ると思うんで、ちょっと待ちましょう」
男性はグレッグ氏にそう言った。
近くに手洗いらしきものがあったが、あまりに人目が多すぎて、行くのがためらわれたのだった。
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