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乾杯のドリンクも軽目のスパークリングワインにした。
私の、もう会わないと云う選択は、彼女の年齢からくる物、10才差、経験、知識の不足、
候補に上がるものは、なんにもなかった。
コアな話をしない私に焦りを感じたのか?彼女が専攻する
ヨーロッパ文学について話し始めた。彼女はその中でも
近親相姦、SMを題材したものが好きで、性描写の下りに
心惹かれるという。
理系の私には 、哲学的にしか感じず、高級和食に近親相姦かよと、思いながらも、相槌を打っていたと思う。
食事も進み、シマアジとブリを紙鍋でシャブシャブする
うまかった。
獺祭だったか?二人で飲む。確信を語らない私に彼女は
少し拗ねたような表情で尋ねた。
何で寝取らせの!話しないんですか!
彼女の今までの声と違う、強くハリのある声が響く。
寝取らせだけ更に強調されていたと思う。
私は狼狽えたと思う。
側で待機する女給には確実に聞かれた。隣の個室に客が居たならば、聞かれたと思う。
私は彼女を諭すように、始めて会うから、初回からはと
次があるようなフレーズを使ってしまった。
ビジネスマンとしては失格だ。
失言を取り返そうとする私は、セオリー通りに墓穴を掘り続ける。
直ぐに2回目の約束を取り付けたい彼女。
私は2週間の猶予を確保するのが精一杯だった。
更に彼女を2週間またせる、ペナルティを喰らう。
次に会うまでの14日間、一日3本以上のメールを、
お互いが送ると、約束させられる。
私はこの約束が大した手間ではないと、考えていたと思う。
おはよう!おやすみ!2本で終わると。
食事が終わり、名残惜しそうな彼女に、タクシー代を渡そうとしたが、固辞される。まで電車があるからと言う。
しかしホテルから夜、彼女を一人で返すのは忍び無いと、ホテルのバーでの一人の反省会を諦め、私も帰るから
とタクシーの同乗を勧めた。
会計に案内する女給は、私達を見ても、眉一つ動かさず、
さすがプロと感心し、自分を情けなく感じた。
駅に付いた彼女はタクシーから降りると、丁寧にお辞儀して、手を振りながら人混みに消えていった。
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