月曜日。
「おはよう!」
「修二。一昨日はありがとうな。あれから大変だったんだぞ… 」と、兄ちゃんと挨拶をしてると真由美ちゃんが
「おはようございま~す。この前はご馳走様でした。」と、通り過ぎて行った。
兄ちゃんが「ん?ご馳走様?何、お前あの子と飲みに行ってたの?」
「だって、駅まで歩いてたら、付いて来るって言うしさ。」
「真由美ちゃん、面白いだろ?」
「ん?まぁ、確かに面白いかもね。」 なんて、言葉を交わしそれぞれの仕事場へ…
そして水曜日。いつもはお昼を外へ食べに出るのだが、雨も降ってるし社食で済まそうと、食堂へ向かう。
すると、兄ちゃんが俺を見つけ「修二。今日は社食か?」と、こっちへ来いと手招きをする。
「まぁ、雨だし出るのも面倒だからね。」と、向かいへ座って、マリンジェットをどうするか等の話なんかをしてる。
すると「係長、横イイですか?」と兄ちゃんの隣の席が空いていたので真由美ちゃんが座ってきた。
「おっ、真由美ちゃん。この前、修二と飲みに行ったんだって?」
「えっ!何で知ってるんですか?」
「真由美ちゃん。一昨日自分でご馳走様って言ってたじゃん。(笑)」
「あっ!スミマセン。」
「何で謝るの?」
「で、何々?お前ら何処行ってたの?」
「何処って、「F」だよ。」
「何だ、あそこかぁ。」
「係長、知ってるんですか?」
「あそこのママ、美人だったろ?」
「はい。」
「ママはね、コイツの昔の… 」
「彼女だったんですか?」
「違うっ!兄ちゃん!」
「はっはっは~っ、俺はまだ何も言ってないだろ。」
「じゃぁ、奥さん?」
「ブブ~ッ!違うよ、何でそうなるの?俺には✕は付いてません。」
「じゃぁ、昔の何なんですか?」
「コイツの昔の… 頃からをよく知ってる同級生。(笑)」
「同級生?だから、ママさんを呼び捨てに… 」
「そう、幼稚園からだから、かれこれ25年。腐れ縁ってやつだよ。(笑)」
「って事は、ママさん30歳なんですか?」
「そりゃ、俺と同じだからねぇ。」
「凄いですね。30歳でお店持ってるって。」
「凄くないよ。加奈は親の店を譲り受けただけだから。」
「おっ!そうだ。修二、明後日空いてるか?」
「ん?別に大丈夫だけど。」
「あそこのボトル、お前に飲んどいて貰おうかって思ってたけど、挨拶がてら一緒に干しに行かないか?話したいこともあるし。」
「あぁ、別にイイけど。」
「ヨシ、決まり。あっ!そうだ、真由美ちゃんも暇だったら一緒に来るかい?」
「えっ、お邪魔してもイイんですか?」
「予定とかデートとか無いかい?」
「全然。空いてまーす。♡」
「ヨシ、じゃぁ決まり。」
金曜日。兄ちゃんが昔から通ってるお好み焼き屋の鉄板を3人で囲み、兄ちゃんが抜けた後がどうなるって話しをしてる。
すると大将が「ヒロちゃん、転勤だって?」と、注文してないのに空いたグラスにビールを注ぎにやってくる。
「大将、そうなんだよ。悪いけど、暫く来れなくなるね。」
「何か聞いたけど、偉いさんになるらしいじゃん。」
「偉くはないよ、タダの業務命令だよ。(笑)」
「あんなにヤンチャだったのにねぇ。(笑)」
「えっ、係長ってヤンチャだったんですか?」
「あぁ、中学や高校時分なんか、何回警察沙汰になったか。」
「シィーっ」
「へぇ~、イイ事聞いちゃった。♡」
「お嬢ちゃん、ヒロちゃんの会社の子かい?」
「はい、いつもお世話になってます。」
「ヒロちゃんの事、これからも頼むよ。」
「いえいえ、こちらが迷惑ばかりかけてしまってて… 」
「ヒロちゃんは、真っ直ぐでイイ奴なんだけど柔軟性ってのが無いから、突っ走っらないように袖口を引っ張っておいてやってくれよ。」
「えっ、そうなんですか。でも係長って、そんな突っ走るってイメージって無いですけど… 」
「真由美ちゃん、大将が言ってるのは学生時分の事。俺も34だぜ、そりゃぁ、少しは大人にもなってますよ。(笑)」
「ス、スミマセン… 」
「よく言うよ。突っ走ったからこそ新事業が始まるってのにさ(笑)」
「そうか、そういう意味ではそうかも知れませんね。(笑)」 などと喋ってると、お店にもお客が入りだして来た。
「大将、そろそろ行くよ。」
「おう、ヒロちゃんありがとな。大変だろうけど頑張れよ。また帰ってきたら寄ってくれよ。」 そう言って見送られ、店を出た。
「F」まで1駅だから電車で行こうって駅へ歩いてると、兄ちゃんが真由美ちゃんに聞く。
「真由美ちゃん、こないだ何で修二に付いて行ったんだい?」
「えっ、いやぁ、あのぉ… 」
「あれだろ、今度の事業の元がコイツだって聞いて興味が湧いてきたんだろ?」
「それもなんですけど。じ、実は… 」
「ん?」
「修二さん、係長にBBQの事言ってもイイですか?」
「あぁ、兄ちゃんにならイイよ。(笑)」
「係長、実はお花見の時にお世話になりまして… 」
「あぁ、肉だろ?安いよな。やっぱ卸値だもんな。」
「それもなんですけど。欲張って他にも何かないですか?って聞いちゃいまして… 」
「ほぉ?」
「係長も修二さんが裏稼業ってのをやっておられるのは知ってますよね?」
「あぁ、知ってるよ。」
「その裏技って言って、お酒までお世話になっちゃったんです。」
「何だ、そうだったの?」
「えぇ。それで凄いなぁって思ってたのが、この前の新事業の話じゃないですか。」
「そうか、そりゃぁ興味も湧くか?」
「はい。で、我儘言って付いていっちゃったんです。」
「何か面白いことあった?」
「えぇ。面白いって言うか、凄いなぁって言うか… 」
「じゃぁ、今日はあれだな。ママに修二の昔の話でも聞いてみな。コイツがバカだって解るから(笑)」
「ふん!バカで結構、バカは薬いらずで安くつく。」
「いや、ただつける薬が無いだけだって。(笑)」 そして電車に乗り移動した。
駅を出て歩いてると、ビニール袋をぶら下げた飲み屋のお姉さんがすれ違いざまに声を掛けてくる。
「あっ!修ちゃん、たまにはウチにも寄ってよ。」
「あぁ、毎度。何、買い物?」
「煙草のお使いよ。」と答える。
「また今度寄らせて貰うよ。」
「じゃぁ、気を付けてね。(笑)」と挨拶を交わす。歩きながら兄ちゃんが「ジジババのたまり場か… 」 と、笑いながら歩く。
ビルへ着き店へ向かい、ドアをガチャッ…
「あっ、ヒロさんいらっしゃいませ。」続いて俺が入り、最後に真由美ちゃんが顔を見せると
「あら、真由美ちゃんだったわよね、いらっしゃい。」と、迎えられる。
今日は3人だけど、空いてるのでBOX席へ、(ここの店は3人で空いてたらBOX席へ、ただし、団体さんが来てBOX席が必要になったらカウンターへ移動して貰うって感じだ。)
兄ちゃんのボトルと俺のボトルを出してきて加奈が付き、乾杯。
「ヒロさん、転勤ですってね。大変ね。」
「だって修二がとんでもねぇ事を言い出して、それを提案したら俺が行くハメになっちゃっただけだよ。(笑)」
「みたいね。この前、真由美ちゃんが新事業って言ってたものね。」
「それで、ボトルを空けに来たの。 おっ!そうだ。修二。この前お前まだその先がありそうな感じだったな。あれ、何なんだよ。」
「あぁ、あれか、桶屋が儲かるってやつだよ。(笑)… 」と、俺達が話し込んでいると、加奈が真由美ちゃんに聞く。
「この前、大丈夫だった?」
「はい。お陰様で、ママさんにもご迷惑かけちゃいましてスミマセンでした。」
「いえいえ、全然。貴女、結構お酒強いのね。可愛いしウチに来て欲しいくらいだわ。(笑)」
「とんでもないです。あんなに潰れちゃって申し訳なかったです。」 と、その時だった。
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