ガチャ… 「いらっしゃいませ。」と、藤田さん御一行が到着。
奥のBOXへ案内されて、いつものようにカウンターに居る俺を見つけて肩を叩き
「毎度。(笑)」と声をかけて行く。
「どうも。(笑)」と、返す。
「由美。」
「はい。何ですか?」
「鬼が来たから豆投げて追い返せ。(笑)」と、チャームのピーナッツの入った小袋を渡す素振りをする。
「嫌ですよ。(笑)」
「誰が鬼だって?修二君。(笑)」
「アラ、聞こえてました?(笑)」
「よく言うよ。私は迎えられて入る方だから、「福は内」って、福だな。(笑)」
「うん。体型はね。(笑)」
「これか?」って、笑いながらお腹をポンポン叩いて席へ向かった。
「師匠は、あぁ言う事を平気で出来るから凄いです。(笑)」
「あれぐらいの冗談を受け流せない方が、器量が狭いと俺は思うけどね。(笑)」
暫くすると藤田さんがやって来て「修二君。あのゴミ処理場、君の言った風呂屋さんの案もなんだけどな。結構土地があるから、グランドゴルフだけじゃ無くて運動公園も作る事になったんだ。」
「へぇ~。でも、ゴミ処理場が近くにあるんじゃ難しくない?」
「実はな、あれからチョッと色々と調べたり相談したりしたんだけど、君が言ってた山の遊歩道を整備するのが決まってな。少し土を掘らないとイケないだろ。」
「まぁ、歩けるようにしようと思えばね。」
「その土をゴミ処理場の横に積んで木を植えて目隠しにして、そこへプールや風呂屋を建てたらどうだろうってなったんだ。」
「なる程ね。目隠しした上に建物があれば、その前に運動公園を作っても、あまり気にならないか。」
「そう。予算も随分抑えられる試算が出たしな。それと、公園と遊歩道の入り口を近くにするような作りにして、そこに無料で足湯ってのを作る事になったんだ。」
「足湯か。確か城崎の駅前にあったな。」
「おっ、知ってるね。」
「温泉の帰りに電車待ちするのに浸かってたな。(笑)」
「君が言ってた別府を調べてた時に、街中に無料で足湯があるのを知ってな。調べたら確かに城崎にもあったよ。それで、せっかくならお風呂に入れずとも疲れを癒すのに足湯だけでも無料で楽しんで貰えれば?って提案したら通ったんだ。」
「やるじゃない。(笑)」
「で、地産地消の話しもしたらな。食事する場所が無いから、地産地消なら三セクで食堂も考えてみようって話しが進んで、まだ少し先になるけどそこに食堂なんかも付随させる予定なんだ。」
「もう、道の駅じゃん。(笑)」
「それなんだよ。市の方と話しをしたんだが、店は閉めても駐車場が24時間開放でトイレなんかがあると、暴走族なんかの溜まり場になりやすくって対策に困るんで、道の駅にはせずに時間で閉鎖するようにして欲しいって事になったんだ。」
「そうか、そういう事もあるんだ。」
「そう。まぁ、民家から距離はあると言えども地元の人達の迷惑になるだろうし、その対策に費用を使ってるようじゃ、せっかくの施設も有難迷惑になっちまうから、それは避けようって事で名目は【運動公園】ってなって、夜間は閉鎖する施設にする事になったんだ。」
「俺は言うばっかりだけど、実際に考えてみると問題もあるし、難しいもんだね。(笑)」
「でもな、修二君が教えてくれたから、建物はそんなに建てずに予算を抑えてゴミ処理場の周りを有意義な施設に出来るんだ。そうでなかったら今頃は、ポツンとゴミ処理場と温水プールがあるだけの物になるところだったんだ。」
「まぁ、そこに藤田さんお得意のバス停でも作れば?(笑)」
「おっ!そうか。そうだな、それはまた相談してみるよ。(笑)」って言って、藤田さんがトイレに向かった。(トイレに行くついでの立ち話だったみたいだ。)
「師匠、凄いですね。」
「何が?」
「だって、前に言ってた事が殆ど実現するんですよ。」
「俺なんか言うだけなんだけど藤田さんは、あぁやって実際に色々調べて議会に掛けて協議して。予算を考えて市や地元の人達と交渉して、ただの箱物を作るんじゃ無く、ちゃんとやるから偉いもんだよ。(笑)」
「まぁ、お役人だけで考えてたら、箱物だけになってたでしょうね。」
「足湯まで言い出すとは思わなかったけどな。(笑)」
「城崎の足湯まで知ってたなんて凄いです。」
「まぁ、行った事があるからな。城崎に別府に湯布院にもあったな。」
「湯布院も行った事あるんですか?」
「だって、別府から電車で1時間程足を延ばせば行けるから行ってみただけだよ。(笑)」
「はぁ~。(笑)」
「まぁ、3ヶ所とも温泉の足湯なんだけどな。そうだ、高速で愛知から三重に入った所に長島ってサービスエリアがあるんだけど、そこにも無料の足湯があったな。あそこのは、ただのお湯なのかな?でも、長島って温泉地だったから、やっぱり温泉なのかな。」
「そんな所も行ってるんですか?」
「長島は温泉だけど遊園地が大きいから遊びに行ったことがあるんだ。それに伊勢参りに行った時にも寄ったな。」
「やっぱり師匠は凄いです。」
「何で?」
「だって、ホント色んな所に行ってるし… 」
「でもな。何故か鳥取と島根には縁が無いんだ。」
「へぇ~、師匠も知らない所があるんだ。」
「そうなんだよな。出雲大社とか行ってみたいんだけど、なかなか機会が無いんだよな。」
「あの辺りって何が有名でしたっけ?」
「らっきょう。」
「らっきょう。(笑)」
「何だ。あっ!宍道湖のしじみ、鳥取砂丘、後は… 解んないんだよなぁ。」
「ロウソクみたいな島ってあっちの方でしたっけ?」
「そんなのあったな。(笑)」って笑ってたら、トイレから戻る藤田さんが、また話しかけて来た。
「そう言えば修二君。私は指宿だけかと思ってたけど、別府にも砂風呂ってあったんだな。(笑)」
「おっ、竹瓦温泉だ。あそこから歩いて直ぐに先生達の好きな石鹸の国もあったぜ。(笑)」
「いや、それはさておきだな。あんなのも面白いのかなぁって思ったりしてね。(笑)」
「色々欲張ると、後始末が大変だよ。(笑)」
「そうだな。まぁ、それは行く機会があればの楽しみにしとくよ。(笑)」
「何。行くの?」
「違うよ。色々調べてたら、別府って街が面白そうだなって思ってな。機会があれば行ってみたいなってだけだよ。(笑)」
「まぁ、議員の先生にはその先の高級な湯布院の方がお似合いなんじゃねぇの。(笑)」
「湯布院か、それもアリだな。」って、笑って席へ戻って行った。
「砂風呂まで言い出すとはね。(笑)」
「知ってる師匠の方が凄いです。」
「だって、入ったことあるもん。(笑) 砂って言えば、北海道の屈斜路湖で砂を掘ったら温泉が出て来る所があったな。」
「そこも行った事あるんですか?」
「前に話したことがあったろ。阿寒湖に行った事があるって。」
「マリモ。」
「そう。その近くには霧の摩周湖ってのもあるし、硫黄山にも行きたかったし、ネッシーみたいな未確認生物で屈斜路湖にクッシーが出るとかって話題にもなった事あるし行ってみようって立ち寄ったら、その温泉があったんだよ。(笑)」
「で、砂を掘って温泉入ったんですか?」
「いや、浸かれる程掘ってる時間も無かったし、シャワーとかも無かったんで、ホントに出るのか確認するのにチョコっと掘って、それこそ足湯。 足湯って言うけど、その頃は足湯なんて言葉が無かったような気がする。(笑)」
「けど、そこをチョコっとでも確認しようってのが、師匠なんです。(笑)」
「でも、クッシーは見れなかったし、摩周湖って霧が有名なのに晴れてたし。(笑)」
「未確認生物がそんな直ぐに確認出来たら、もう未確認じゃありませんよ。(笑)」
「また北海道の上の方も行きたいな。(笑)」
「私もバイク買ったら、そんな旅がしてみたいな。(笑)」
「大人になって社会人になると、10日間位の旅って難しいよな。(笑)」
「ですね。(笑)」って喋ってると、BOXの客が1組帰って夕子ちゃんがカウンターに入って来た。
「こんばんは、お邪魔します。」
「えぇ~、邪魔するの~(笑)」
「邪魔をするのが仕事です。(笑)」
「だな。(笑)」
「邪魔が邪魔なら家で呑めってね。(笑)」
「相変わらずキツいね~(笑)」
「今日は何、ママ達と御飯行ってたの?」
「あぁ、咲ちゃんの好物を食べにね(笑)」
「私も誘ってくれたら良かったのに~ (笑)」
「そんなに連れて行ったら、店がチーフだけになるでしょ。それに、ココに来る前に俺が破産だ。(笑)」
「よく言うわよ、毎日呑んでても余裕なクセに。(笑)」
「まぁ、また今度な。(笑)」
ってな具合で、この夕子ちゃんは客にもよるけど、チョッと口が悪いって感じが似合うって言うか、面白い子だ。
「夕子ちゃんも1杯呑む?」
「あっ、イイの?じゃぁ、いただきます。」と、由美と3人で乾杯。
「由美ちゃんって、修二さんの紹介で入ったのよね?」
「紹介って訳じゃ無いんですけど、最初は飲みに連れて来て貰ったんです。」
「そしたら加奈が誘いやがったんだよ。(笑)」
「アラ、そうなの?由美ちゃんが、師匠師匠って言うもんだから、私はてっきりママが女の子を紹介してくれって頼んで修二さんが連れて来た子なんだと思ってた。(笑)」
「師匠は、由美だけが言ってる俺のあだ名。(笑)」
「じゃぁ、何処でナンパして来たの?」
「何でそうなるの?会社の同僚だよ。(笑)」
「へぇ~、会社の… で、由美ちゃん。何で修二さんが師匠なの?」
「えぇっとですね。色々物事を知ってるし、色んなアイデアや考え方が勉強になるなぁって思って、しかもそれを自分の手柄にせずに笑ってられる余裕が凄いなぁって… 」
「まぁ、確かに煙草屋さんなんて考えつかないし、ココのお迎えだってなかなか思いつかないわよね。で、師匠?(笑)」
「はい。(笑)」
「私はお酒の師匠って言うなら納得ね。(笑)」
「何でですか?」
「だって、いくら呑んでも修二さんが潰れたところって見たことないもん。」
「まぁ、確かにそうですね。エロくはなりますけどね。(笑)」
「エロいのは元からでしょうけど、バーボン半分ぐらいラッパ飲みしてケロッとしてるんだもん。あれは凄いわ。(笑)」
「いや、ケロッとはしてないけど、あれは結構まわってるんだぜ。」
「まわってる割りにあまり変わらないのが不思議なのよね。」
「まぁ、普通にボトル1本空けて帰る事もあるけど、記憶を無くしたとかって事は無いな。」
「師匠って呼ぶからには、そこも習わないと大変だわよ。(笑)」
「既に何度か潰れて迷惑かけてます。(恥)」
「ゲロッパ?(笑)」
「いえ、そっちは大丈夫なんですけど、寝てしまいます。(笑)」
「そっちならまだマシね。(笑)」
「いや、結構絡むし。おんぶも大変だぞ。(笑)」
「ですって。(笑)」
「スミマセン。(恥)」って笑ってると、チェンジで由美が別の客の所へ。そして加奈がカウンターへ入って来た。
「さっきはご馳走さんでした。(笑)」
「いいえ。」
「ママ、私も誘ってくれたら良かったのに~。」
「だって、亜美ちゃん1人には出来ないでしょ。(笑)」
「ほら、同じ事を言ってるだろ。」
「じゃぁ、今度フランス料理のフルコースでも連れて行って貰おうかしら。」
「この辺の何処にそんな店があるの?(笑)」
って冗談を言ってると加奈が、「修ちゃん。あの焼酎、酒屋さんが大丈夫だって。」
「あっ、そう。じゃぁ、もう俺が仕入れなくても大丈夫だな。(笑)」
「あの1○4って方も美味しいわよね。あれで森〇蔵みたいにプレミアにならないってのが有難いわ。(笑)」
「そうだ。アレ美味しいわね。あの焼酎も修二さんが見付けて来たのよね?」
「いや、親戚の叔母さんがそこの酒蔵に嫁いでてさ、そこの焼酎が美味かったからどうだろう?って教えてみただけだよ。」
「親戚?イイわね。親戚に酒蔵があるなんて、飲み放題じゃない。(笑)」
「まぁ、売り物だから飲み放題ってな事は無いけど、宮崎だから滅多に行くなんて事は無いしな。(笑)」
「宮崎って何があったっけ?」
「さぁ?俺が知ってるのは巨人がキャンプするのと、旭〇成の工場と、昔は新婚旅行のメッカだったぐらいかな。(笑)」
「へぇ~、新婚旅行… 」
「昔は海外なんてそう簡単に行けなかったし、チョッとでも南国気分を味わえるってんで、多かったらしいよ。」
「そうなんだ。」
「沖縄でさえ行けなかったからな。」
「そうだったわね。子供の頃って沖縄はまだアメリカみたいに車が右側通行だったもんね。(笑)」
「それって、いつの時代ですか?(笑)」
「昭和よ、昭和。(笑)」
「占領統治されてたから、沖縄へ行くのにパスポートが必要だったんだぜ。(笑)」
「信じられな~い。(笑)」って時間が過ぎて行き、平日で明日も仕事なんで日が変わる前に帰ることにした。
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