カウンターに座り、ママが付いて話し掛けてくる。
「で、今日はお2人さんで観光?」
「まぁ、それも少しはあるんだけど、昨日〇〇〇さんのLIVEがあって観に来たんですよ。」
「〇〇〇さん。うわぁ、懐かしい。内地のファンなんだ。」
「えっ、知ってるんですか?」
「私が高校の頃、ラジオを聴いてたんですよ。」
「あぁ、ア〇ックヤング」
「えっ、知ってるの?」
「聴きは出来なかったけど、番組やってるのは知ってたからね。(笑)」
「昨日は何処であったの?」
「道〇ホール」
「へぇ~、そうなんだ。」
「彼女もファンなの?」
「はい。私は俄かなんですけど、良い曲がいっぱいあって、面白くって、気さくな人で… 」
「確かにラジオやってる時なんか面白かったもん。(笑)」なんて話しで盛り上がる。
ママが別の客の対応に向かったところで真由美が聞いて来る。
「博多や東京でも思いましたけど、こんな凄い所で裏稼業が出来てたらどうなってたんでしょうね?」
「まぁ、仕入れに制限や問題が無かったなら一晩で一ヶ月や二ヶ月分、いやもっと稼げるんだろうな。(笑)」
「そう考えると師匠の考えたシステムって、ホント凄いですね。(笑)」
「まぁ、制限や限界があるから無理な話しなんだけどな。(笑)」
「大き過ぎますかね。(笑)」
「それよりもな。兄ちゃんの仕事をこういう夜の仕事してる人を相手にしたらどうなんだろ?」
「えっ、お弁当ですか?」
「そう。まぁ、1時2時まで仕事して、朝起きるのが遅いし料理してるのも面倒って人も相当いるだろうし、買い物だって面倒って人には持ってこいな感じがするんだよな。」
「そうか。朝起きてって言うか、昼前か昼頃に起きてお弁当が届けば便利ですよね。」
「買い物も、前の日に注文しといて翌日の昼過ぎ頃に届けば便利だろうし。」
「そういう提案を所長にしてみるのもアリかもですね。(笑)」って、話してるとママが戻ってきて
「そういえば、さっき〇〇〇さんが気さくな人って言ってたけど、知ってるの?」
「いえ、サインして貰う時に少しお話しさせて貰っただけなんですけど、俄かファンの私にでも気軽に声をかけて貰えて… 」
「へぇ~、そうなんだ。(笑)」
「ママさん。ココは観光客相手のお店じゃ無いんですか?」
「まぁ、そういうお客さんも当然ありがたいんだけど、ウチは親の代からやってる店で地元の人達にも来て貰えるようにあまり変えずに古臭いまんまやってるのよ。(笑)」
「ススキノだからって、チョッと高くついたなって思われて帰られるよりも、古臭いけど安く飲めたなって思って気分よく帰って欲しいもの。(笑)」 って、ところでチェンジで女の子が付きに来た。
「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃいました。(笑)」なんて馬鹿な返答をしながら時間が過ぎて行く。
「内地から来られたんですか?」
「そう。」
「夫婦?恋人?」
「白い方。」
「そうなんだ。イイな、旅行に連れて来て貰えるなんて。(笑) 何処か行って来たの?」
「あっ、今日は小樽まで行って来ました。」
「あぁ、運河まで行ってたのね。あそこも観光地になってお洒落になったものね。」
「えっ、違ったんですか?」
「私が子供の時はまだ何も整備されて無かったし、普通だったのよ。(笑)」
「そうだったんですか?」
「中学校ぐらいの頃に観光地って言われだして、ライトアップなんか始めて、どんどんお洒落になっていったんだもん。(笑)」
「へぇ~、観光地としては最近なんだ。」
「私のイメージだと、大きなカーフェリーが来る港ってのが先に来るもん。」
「あぁ、確かに舞鶴や敦賀とかから来るもんな。」
「へぇ~、そうなんですか?」
「昔はな、敦賀を夜に出て翌々日の朝に小樽に着いたんだよ。」
「フェリーで2泊ですか。」
「そう。前に加奈が俺がバイクで北海道へ行ったって話してたろ。」
「えぇ。10日間ぐらいって。」
「厳密には12日なんだけどな。(笑) その時にワザワザ敦賀まで行ってからフェリーで渡ったんだよな。」
「帰りもですか?」
「帰りは苫小牧から東京のフェリーだったな。」
「東京ですか?」
「あぁ、今はなくなってしまったんだけど、昔はあったんだよ。」
「へぇ~、東京からならイイですね。」
「小樽から国道を北上して〇〇〇さんのお兄さんがやってたパブに行って、稚内に行ったり網走刑務所に行ったり。」
「入ってたんですか?(笑)」
「そんな訳ないだろ。(笑) 阿寒湖のアイヌ村に行ったり。釧路や足寄へ行って最後はココ札幌に寄って帰ったんだよなぁ、懐かしいな。(笑)」
「いいなぁ。そんな旅してみたいな。」
「素泊まり1500円のユースホステルに泊まったり、テント張ってキャンプしたりしてな。」
「へぇ~、お兄さん、そんな旅をした事あるんだ。私、道民でも阿寒湖は行ったこと無いなぁ。」
「マリモだべ。(笑)」
「マリモは知ってますけど、なかなかアッチの方へ行く機会なんて無いですからね。(笑)」
「おっ、そうだ。真由美。新しいって字に冠って書いてどう読むと思う?」
「えっ、新しいに冠ですか?… しんかん?にいかん?」
「お姉ちゃん、教えてあげて。(笑)」
「答えはね。ニイカップって言うのよ。(笑)」
「冠って、カップって読むんですか?初めて知りました。」
「北海道って面白い地名が多いよな。納沙布とか足寄に忍路とか厚岸や増毛なんて所もあるし、興部にサロマとかトマムとかキロロなんて所もあったな。」
「小さい時にテレビで長万部って何回も聞いた事ありましたね。(笑)」
「おぉ、〇利徹さんがやってたなぁ。懐かしい。(笑)」
「私はここから近くて北広島市の出身で、車輪の輪に分厚いの厚って書く所なんですけど、何て読むでしょうか?(笑)」
「あっ!俺は知ってるよ。(笑)」
「えぇ~っ、何だろう。りんこう?… 違うな。わ… わこうですか?」 「ブブ~っ(笑)」
「ヒント下さいよ。(笑)」
「真由美。何で?」
「何がですか?」
「いや、だからヒントが何で?」
「解らないからですよ。(困)」
「だから、何でを英語で… 」
「Whyですか。」
「これは何?って聞く時は… 」
「What Is This… えっ、【わっつ】ですか?」
「そう。私の出身地は【わっつ】って所なの、読めないでしょ。(笑)」
「難しいですね。(笑)」
「北海道はアイヌ語の読み方も入るから余計ですよ。(笑)」
「お兄さん、さっき〇〇〇さんって名前言ってましたよね。」
「えぇ。」
「知ってるんですか?」
「あぁ、昔からのファンでね… 」
「そうなんだ。千春さんのマネとか上手いですもんね。(笑)」
「おっ、知ってるね。(笑)」
「昔、ラジオ聴いてました。」
「ママも言ってたな。(笑) 昨日、道新ホールでLIVEがあって、それを観るのに来たんだよ。」
「そうなんだ。」
「で、打ち上げの2次会で朝方まで一緒に飲ませて貰って… 」
「えっ、関係者なんですか?」
「いや、ただのファンなんだけどチョッとお邪魔させて貰っちゃってね。(笑)」
「へぇ~、一緒に飲んでたんだ。イイなぁ。」
「で、せっかく来たし少しでも観れる所に行っとこうかなって小樽に行ってたんだ。」
「そうなんだ。じゃぁ、明日あたりに帰るの?」
「そう。」
「まぁ、LIVEが目的だから仕方ないんでしょうけど、せっかく来たのにあまり観光が出来ないって残念ね。」
「そうなんですよね。でも歌手の人と一緒に飲ませて貰ったり出来たし、時間無いけど小樽も行けたし贅沢言えません。」
「ね、もっと時間があればね。(笑)」
「私、北海道は初めて来たけど色んな所へ行ってみたいし、また絶対来ます。(笑)」
「私も道外に行きたいなぁ… 」
「えっ、北海道から出た事ないんですか?」
「いえ、修学旅行で京都や大阪に行ったのと、一度ディズ〇ーランドには行った事ありますけど、それだけで。(笑)」
「でも、そうか。私も北海道は初めてなんだから逆に言えば北海道から出ようとすると大変かもですね。例えばどんな所へ行きたいですか?」
「沖縄も行ってみたいし、東京も観光はしてないんで行きたいし、やっぱりもう一度、京都や大阪も行ってみたいかな。(笑)」
「沖縄は私も一度だけ。師匠はありますか?」
「あぁ、何回かな。」
「イイなぁ。」
「1回な、台風が来て観光も何も出来ず国際通りで飲んでただけってのがあったな。しかも飛行機が飛ばないから1日帰りが遅れたし。(笑)」
「こっちもたまにありますね、雪で飛行機が飛ばないとか、来ないとか。(笑)」
「一度、飛行機に5時間乗って札幌に来たことあるよ。(笑)」
「それは大変ですね。」
「相手は自然なんだから仕方ないのに、ブーブー文句言う人もいるしね。」
真由美が手を合わせて「明日は無事に飛びますように。(笑)」って、言うのを見て笑っていた。
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