10時半。ドアの向こうでは清掃員が右往左往してるのが解る。
【起こさないで下さい。】の札を掛けてあるものの、そんなドアの前でロックもかけずに真由美と抱き合っている。
朝、一旦シャワーをしたのだが出掛ける前に何だか無性に欲しくなって求めてしまった。
チョッと変わった事をすると真由美は興奮してくれるので、今朝は扉1枚の向こうで清掃の人がウロウロしてる中を抱いてみた。
「どうする。急にドアが開いたら?」
「えぇ~っ、札を掛けてるから大丈夫ですよね。」
「でも、鍵は開いてるから解らないぞ。」と、言いながら立ったまま片足を持ち上げ腰を打ち付ける。
真由美もやっぱり興奮するのか「アンアン。」と声を漏らし始めるので唇を重ねる。
「真由美、そんなに声を出したらホントにバレちゃうよ。」
「だって…」
と、鍵もかけずにそのままベッドに移り、真由美を存分に味わった。
再度シャワーをして【お掃除お願いします。】の札を掛けて、お昼を食べにラーメン横丁へ向かった。
「師匠。ラーメン好きですね。(笑)」
「いや、札幌へ来たらやっぱりラーメン横丁じゃん。(笑)」そう言いながら横丁の看板の写真を撮りつつ真由美が言う。
「だって、博多でも京都でも食べにいきましたよ。(笑)」
「ま、美味いからイイじゃん。(笑)」と、テレビなんかでも紹介されてるお店へ。少し並んだが思ってたより早く食べられた。
「やっぱり札幌は味噌なんですね。」
「そうだな。味の三平って店が発祥なんだけど、やっぱり寒い地域だけあって温まるには味噌だな。(笑)」
って、歩いてるとススキノと言えばで出てくる交番の看板と、ウィスキーの看板を見かけて真由美がパチリ。
「そうだ、真由美。せっかくだからこの時期だけのモノがあるぞ。」
「えっ、何ですか?」と、市電の通り道へ。
「真由美。電車が来ただろ。」
「はい。」
「見ときなよ。」と、やって来た電車を見て
「へぇ~、お掃除しながら走ってるんですか?」
「いや、掃除をしてるって訳じゃ無いんだけどな。(笑) あれはササラ電車って言って、札幌の市電は冬になるとああして竹箒みたいなのを付けて、レールに積もった雪をハネて走るんだ。」
「へぇ~、ササラ電車って言うんですか。」と、またパチリ。大通り公園を通るとテレビ塔が見える。
「あっ、ココが雪まつりをやってる所なんだ。」
「そうだな。札幌って言えば雪まつりだもんな。あれは2月だから観れないけど、今はイルミネーションのイベントやってるから、暗くなったらまた来よう。」
って言って、今日は足を延ばして小樽まで…
電車で行けば小一時間なので大都会の札幌だけでなくって事で、運河を観に行く事にした。
レンガの倉庫が並ぶ運河を歩き、まだお腹は減ってないけど、せっかくだからお寿司をチョッと食べようと店へ入る。
「ここのレンガ倉庫の所に運河があって、風情があってイイですね。」
「今は観光名所になってるけど、当時は荷物の往来で仕事する人ばっかりだったんだろうな。」
「そうか。当時の人にしてみれば仕事場であって、風情なんて思ってもいなかったんでしょうね。」
「そうだろうな。仕事場が観光地になるなんて思ってもいなかったんだろうな。(笑)」
「こんな所ってありましたっけ?」
「ん?横浜の赤レンガだろ。北九州にもあったな。川で言ったら、倉敷なんかや確か滋賀の近江八幡なんかは生活水路だった所が観光地になってるもんな。」
「当時の人達にしてみれば、マサかなんでしょうね。(笑)」
夕方、札幌へ戻って来た。流石に冬場は日の暮れるのが早い。もう暗いのでイルミネーションをやっている大通公園へ。
「師匠。やっぱり寒いと空気が澄んでるって言うのか、何か綺麗に見えますね。」って、少し公園を歩いてからホテルへ戻る。
出掛ける前にお風呂に入っておこうと、昨日はシャワーだけだったので、今日はお湯に浸かりたいとバスタブに湯を張って入った。
「さぁ、寒いけど出掛けるか!」と、賑やかな夜のススキノへ…
さすが日本屈指の大歓楽街。日曜の夜だけど、そんなの関係ない。先ずは腹ごしらえでジンギスカンの店へ。
あの独特の鍋を囲み食事する。このタレも美味いし、肉の脂を吸った野菜がまた美味いのだ。それにビールが合うんだな。(笑)
「師匠。」
「ん?」
「羊って、ラムとマトンってあるじゃ無いですか、不思議ですよね。牛はビーフだけだし、豚はポークでしょ、鶏はチキンなのに、何で羊だけ言い方が2つもあるんですかね?」
「そう言えばそうだな。考えた事も無かったよ。(笑)」
「何故なんですかね?」
「さぁ?何でだろ。アレかな、羊って子羊の時と大人になってからじゃ、味が相当違うからかな。」
「マトンは臭いってよく聞きますよね。」
「いや、合ってるかどうかは知らないけど、違いって言ったらそんな感じなのかなってな。(笑)」
「でも、そうなのかも知れませんね。(笑)」
「肉の名前って言えばな。牛はビーフのステーキだからビフテキだろ。」
「はい。」
「なのに、何で豚はトンテキなんだ?ポークだったらポクテキだろ。」
「ポクテキって。(笑)」
「鶏ならチキンだからチンテキなはずだぞ。(笑)」
「チンテキって何か嫌です。(笑)」
「マトンのステーキなら?」
「マ・・・!! もう。(恥)」なんて笑ってるウチにお腹もいっぱいになり、そろそろ行こうかと街中へ。
中へ入るのは恥ずかしいと真由美が言うので、外で待って貰って案内所へ。(確かに風俗やHなお店の紹介もあるので、女の子には恥ずかしいかも知れない。)
ススキノは色々あって、スナックって言ってもチョッとHな所もあるので、女の子と行けるような所を紹介して貰う。
出て来たら真由美がナンパされてた。(笑)
貰った紙にペンで書いてくれた地図を頼りに目的のビルへ到着。
「師匠。凄いですね、お店の入ったビルがこんなに沢山並んでるなんて。」
「な。東京や博多とまた違って、何かスケールがデカく感じるだろ。(笑)」
「何だろ。空気が澄んでる分、ネオンも余計に煌びやかに見えるんですかね。何かキラキラしてる感じです。」
っと、紹介して貰った店を見付けて入る。
「いらっしゃいませ。」
「あの、案内所で紹介して貰ったんですけど。」と、紙を見せる。
「あぁ、お2人様ですね。どうぞ。」と、BOX席へ案内される。ここの店はラウンジに近いような感じの店だ。
「いらっしゃいませ。」と、女の子が付きに来た。
ウィスキーの水割りを作りながら、言葉の違いで内地から来たのとか観光とかの話しをしつつ
「何か1杯どうぞ。」と言うと、「あの、私が飲むのってチョッと別になるんですけどイイですか?」と、聞いてくる。
「ま、イイけど。(笑)」
と、案内所では種類は制限されてるが女の子に飲ませる分も料金に含まれているって言ってたのに、女の子はそれ以外のモノを頼む。
で、乾杯をして真由美とも小樽の話しをしたりだとか時間が過ぎる。
セットの時間が3分の2を越え後半になると、女の子がチェンジになる。で、また内地とかの話しになり同じように飲み物を頼まれる。
が、俺は「ゴメンな。出来れば料金の中で。」と、今度は渋る。まぁ、決まってることなので女の子も料金の中のモノで付き合う。
時間が来て店員が「お時間ですが、どうされますか?」と、聞いてくる。
「ゴメン。別の店も行ってみたいので、これで… 」と、延長はせずに会計を済ませて店を出た。
「ヨシ、真由美。行くぞ。」
「はい。」と、歩き出す。
「何か気付いた事あったか?」
「何かスナックとは違う感じだったですね。」
「あそこはな、遊び慣れてないって言うか、気の大きくなった観光客を相手にしてる店だよ。」
「そうなんですか?」
「先ず1杯どうぞって言った時に女の子が料金以外のモノを聞いただろ。」
「はい。」 「で、オッケーなら、後半に女の子をチェンジさせただろ。」
「ですね。」
「それで、大体の客は同じように次の女の子にも別料金のモノを飲ませるんだ。」
「なる程。」
「そこで、女の子と打ち解けてきた頃に時間がきて、延長って言って貰えるように仕向けてるんだ。」
「はぁ~、そうなんですか。」
「さ、今度はまともなスナック探そ。(笑)」と、また別の案内所へ。
次に紹介して貰った所はホントに普通のスナックで、ママが良心的な人で
「ウチは2時までだからハウスボトルのセット料金で延長してるより、2人ならボトル下ろして飲んでくれてる方が安いわよ。」
って言ってくれたので、そうさせて貰い「F」で飲んでるのと同じバーボンがあったので下ろして飲むことにした。
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