お盆休み。14、15日は真由美も実家へ帰るみたいだが、それ以外は「F」に入る。女の子は浴衣姿。由美の土産の団扇も涼し気だ。
加奈が言う。「修ちゃん、あの焼酎また頼める?」
「へっ?もう無くなったの?」
「うん。もうチョッとしか無いの。この時期だから水割りが多いんだけど、アレ美味しいって評判なのよ。(笑)」
「そうか。じゃぁ、また頼んどくよ。」
「本数は前の倍で頼めるかしら。」
「了解。」
「そうそう。お土産で由美ちゃんにコレ貰ったんだけど、どう?」
「ん?団扇か。涼しそうでイイじゃん。」
「あの子よくこんなの見付けてきたわね。透かし柄って珍しい。」
「夏らしくてイイな。(笑)」
「女の子皆に色々と用意してきてくれるし、エライわね。(笑)」
「皆が喜んでくれてたら、それでイイんじゃない?(笑)」
「おっ、そうだ。今度、ビールがよく出るモノを持って来てやるよ。(笑)」
「何々?」
「それは見てのお楽しみだな。」って笑ってると、突然店の灯りが消えた。
(アレ、停電か?それにしてはカラオケのモニターは点いてるな。)
って、思ってるとカラオケでハッピーバースデーの曲が流れ、由美が歌い出す。
咲ちゃんがケーキを持って来る。「おめでとうございます!」と、サプライズで皆に祝われる。8月は俺の誕生月だ。(笑)
「いや、もうチョッと過ぎてるんだけどな。」なんて言いながら、ローソクを吹き消す。
「F」では誕生月はボトル1本を半額にしてくれるサービスはあるけど、こんな事はされたことが無かった。
どうやら由美が加奈に頼んで用意したようだ。
由美が切り分けたケーキを持って来て俺に「師匠、おめでとうございます。はい、アーンして。♡」と、言う。
口を開けると、ケーキを押し込んでくる。(笑)
「もう、ケーキで祝うような歳でも無いけどな。(笑)」
「イイんです。幾つになってもケーキなんです。」
「ケーキか。いつからだろうな生クリームがメインになったのは… 」
「えっ、違ったんですか?」
「あぁ。子供の頃はバタークリームって言ってな、チョッと黄みがかってて、もっと脂っぽい感じで食べ過ぎると胸やけするような感じだったんだよ。」
「へぇ~、そうなんだ。」
「なぁ、加奈。俺らが子供の頃って生クリームよりもバタークリームのケーキが多かったよな。」
「そうね。生クリームが多くなったのって、小学校の終わりか中学校になった頃だったような気がするわね。(笑)」
なんて、時代の差に笑っていた。
チェンジでそのまま由美が付く。「師匠。」
「ん?」
「来月の頭に出張で岡山に行くんですけど、岡山って何があるんですか?」
「日帰りか?」
「いいえ、1泊なんですけど。」
「倉敷じゃ無いよな。」
「えぇ。」
「岡山かぁ。2回しか行った事が無いけど、 知ってるのって後楽園って庭園があったのぐらいかな。あっ、デミカツってのが名物で食べに行ったな。倉敷なら美観地区があるのにな。」
「多分、行ってる暇無いです。」
「残念だな。仕事だもんな。(笑)」
「でも、そのデミカツってのを食べて来ます。(笑)」
「結構、飲み屋さんもあったぞ。」
「平日で仕事ですから。(笑)」
「部屋飲みだな。(笑)」
「でしょうね。」
「岡山かぁ。ホント、後楽園行ってデミカツ食って、カラオケ行ったぐらいだもんな。(笑)」
「LIVEですか?」
「そう。1回は仕事で、もう1回がLIVEで、時間無かったけどファン仲間が連れて行ってくれたぐらいなんだ。で、次の日は倉敷で観光して帰ったんだけどな。」
「岡山って何が名物でしたっけ?」
「さぁ?きびだんごとマスカットぐらいは知ってるけど、あまり知らないなぁ。あぁ、はだか祭りってのは有名だぞ。(笑)」
「裸?」
「そう、俺もそれは映像でしか見たこと無いけど、凄い数の男がふんどし一丁で宝木(しんぎ)って言ってたと思うんだけど、それを取り合う祭りで、もう揉みくちゃ。(笑)」
「うわぁ、想像するだけで凄そう。」
「そう言えば、岡山ってデニムが有名だよな。」
「そうなんですか?」
「確か学生服とかってのも岡山は有名で、そういう生地の関連でデニムも有名らしいな。」
「へぇ~。デニムか、時間があったら見て来ようっかな。」
「あぁ、そうか。」
「どうしたんですか?」
「いや、今カラオケ歌ってるので思い出したけど、確かB’zの稲葉さんって岡山だったよな。」
「確か実家が電気屋さんでしたっけ。」
「そうそう。ブルーハーツの甲本さんも岡山だったな。」
「じゃぁ、俳優の弟さんもですよね。」なんて話してると亜美ちゃんが
「修二さん。コレ由美ちゃんに貰ったの、可愛いでしょ。(笑)」と団扇を見せてくる。
「おっ、金魚か涼し気でイイね。」
「由美ちゃん、この前も博多に行って来たってお土産くれたし、貰ってばっかり。」
「そんな事ないですよ。これは、浴衣の日があるから似合うかなって思って買ってみただけですよ。(笑)」
「そういう気遣いが出来るから由美ちゃんはエライわよね。」なんて話しながら時間は過ぎて行く。
今日は客足も少なく、由美も24時で上がるのでチョッとアフターって事で、2人で先輩の炉端屋へ寄る。
「真由美はココは初めてだな。」
「はい。」
「ココはな。俺達の先輩がやってる店なんだよ。」
「へぇ~、そうなんですか。」と、店へ入る。「おう、修二。いらっしゃい。」
「毎度っす。」
「この子は?」
「会社の後輩なんですけど、チョッと加奈の店に入ってるんっすよ。」
「ほぉ、そうなの。」と、真由美を見て「ふ~ん。加奈ちゃんの店か、人使い荒いから気をつけなよ。」って笑う。
「いつものあります?」
「あぁ、あるよ。」
「じゃぁ、それを2つとガーリックステーキあります?」
「すまない。今日は売り切れちまったんだよ。」
「あら残念。じゃぁ、お任せで2、3品ほど見繕って下さいよ。」
「あいよ。」 と、先ずはイカの炙りが出て来て焼酎の水割りで乾杯。
一口飲むと真由美が驚いて「師匠。これってジャガイモですよね。珍しい。」
「そうなんだよ。美味いだろ。」
「えぇ、美味しいです。ジャガイモがガツーン!と来ますね。(笑)」
「この辺りではココぐらいしか飲めないからな。(笑)」
「そうなんですか?」
「北海道の焼酎でな。先輩はわざわざ取り寄せして出してるんだ。」
「これはサツマイモのとはまた違って、スッキリなんですけど何だろう。嫌味の無い青臭さって言うのかな、上手く言えないけどこんなのあるんですね。(笑)」
「これはな、九州の20度とは逆で44度もあるんだ。」
「ウィスキー以上ですね。やっぱりアレですかね、寒い所へ行く程アルコール度数もキツいものになるんですかね?」
「ホントだ、考えた事が無かったな。確かにウォッカやジンとか、寒い所では体を温めるのに度数の高い酒を飲んでるな。でも、これはそうなのか知らないけど、作ってる所が北緯44度で、それをひっかけてるらしいぞ。」
「へぇ~、緯度にひっかけてるんだ。」
「咲ちゃんがコレ好きなんだよ。今日は売り切れてたけど、地鶏のガーリックステーキで1杯やるのが最高なんだって。(笑)」
「へぇ~、じゃぁ、今度時間があったら誘って来ようっかな。」
「ニンニクの臭いプンプンさせて2人で店に出るってか(笑)」
「ママに怒られるかな?(笑)」なんて笑いながら飲んでると先輩が
「修二。暑いからよ、店でこんなの出そうと思うんだけど、どうだ?」と、味見しろと真由美の分もで、茶碗を2つ持ってきた。
先ずは真由美に食べさせる。
「美味しい。冷たい猫まんまですか?(笑)」
「これはな、宮崎の名物で冷や汁って言うんだよ。ね、先輩。」
「やっぱり修二は知ってたか。」
「でも、この季節に限らずに〆の1杯でもイケるんじゃないですかコレ。」
「ヨシ。じゃぁ、ウチのメニューに加えるか。(笑)」と、新メニューが決定した。
「先輩、ご馳走様。」
「ありがとうございました。美味しかったです、また寄らせて貰います。」
「おう、ありがとうな。また頼むよ。」と、見送られ店を出た。タクシー乗り場も今日は空いていたのですんなり乗り込む。
「師匠。あそこの炉端屋さんイイですね。(笑)」
「まぁ、近いし寄りやすいし。美味いしな。(笑)」
「あのジャガイモの焼酎美味しかったし、また行こうっと。(笑)」って、話してるといつものバス停へ。
真由美が部屋に寄ってと言うので、寄る事にした。
「師匠。チョッと遅れましたけど、ハッピーバースデー です。♡」と、包みをくれる。
「そんなのイイのに。」
「ほんの気持ちですから。(笑)」
「開けてもイイ?」
「気に入って貰えるとイイんですけど… 」と、包みを開ける。真由美はバイクに乗る俺にと、タンクバックを用意してくれてた。
「ありがとうな。こりゃ、イイもん貰っちゃったな。(嬉)」
「師匠… 」
「ん?」
「リボン付けて無いけど、私もプレゼント♡」と、抱き着いてChu!っとしてくる。
「それは、貰えないなぁ。(笑)」
「解ってますよ。(笑) でも、最近、ギュッてして貰えてないからギュ~ってして欲しいんです。」
「こう?」と、抱き締める。
「Chu!もです。♡」
「我儘だなぁ。」なんて笑いながらChu!ってしてから目を見て、「真由美。タンクバックありがとうな。」と言ってkissをして舌を絡ませてると自然と身体が欲しくなる。
ここのところ機会が無かったので久々な事もあり、お互いを激しく求め合った。
2人で布団に寝ころび
「真由美。今日、浴衣可愛かったな。」
「似合ってました?(笑)」
「うん、可愛かったよ。それに髪をアップにしてもイイ感じだな。(笑)」
「ありがとうございます。じゃぁ、たまにはアップもしようっかな。(笑)」なんて話しながら眠りに落ちた。
朝。今日は礼子が友達と出掛けると言ってたので、家が留守になってから戻ろうと、真由美の部屋でゆっくりしている。
「師匠。朝食、パンでいいですか?」
「あぁ、ゴメンな。ありがとう。」
「いいえ、大したモノは出来ませんけど。(笑)」と、トーストに珈琲、目玉焼きを用意してくれる。
「サラダにする野菜が無くって、スミマセン。」
「全然。これだけでも十分だよ。(笑)」って、食事が終わり、荒い物をしている真由美を後ろから抱き締め
「ご馳走様。♡」と、頬っぺにChu!とする。
真由美が出張する岡山での仕事のことや俺が今度行くツーリングの話しなど、たわいもない話しをして時間が過ぎ
「じゃぁ、お盆明け会社でな。」と、部屋を後にして帰宅した。
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