真由美ちゃんとはクリスマス会のお喋りから、出勤や退社の時に出会うと
「おはよう!」や「お疲れさん。」くらいの挨拶は交わすようになった。
そして3月。彼女は新入社員の歓迎会&花見(BBQ)の責任者の一人に選ばれたらしく、珍しく声をかけて来た。
「あの、修二さん。スミマセン。」
「何?」
「今度のお花見の担当になったんですけど… 」
「ありゃりゃ、それは大変だね。」
「BBQのお肉なんですけど、お願いしてもイイんですか?」
「あぁ、何㎏、40?50?」
「えっ?そんなに?」
「そりゃ、そうだよ。参加の人数からしたら例年そんな感じだよ。」
「あの、まだ人数が決まってないので… 」
「じゃ、早めに教えてよ。こっちも日にちに合わせて早めに注文しときたいし。」
「わ、解りました。」
「頼むよ!」と、行こうとした時に呼び止められた。
「あ、あの… 」
「ん?」
「チョッと相談って言うか… 」
「何々?」
「お肉だけでも十分甘えてるのは解ってるんですけど、何か他に予算抑えられる事ってありますか?」
「何、何か言われたの?」
「あっ、いえ。出来るだけ抑えられたら、2次会とか新入社員の御祝いに少しでも回せるかなぁって思って。」
「おっ!優等生だな。」
「いえ、そんなつもりじゃないんですけど…」
「そうだなぁ… じゃぁ、これは絶対秘密だからね。」
「えっ!何かあるんですか?」
「前に裏稼業してるって言った事あるだろ。」
「はい。」
「それの別バージョンを使うから。」
「解りました。秘密にします。」
「お酒を用意しなきゃイケないだろ?」
「はい。」
「じゃぁ、数が解れば、缶ビールと缶チューハイは俺に用意させて。格安で仕入れてあげるから。」
「解りました。」
「その代わり、肉と違って領収書は切れないから、その辺だけ上手いことやってね。」
「はい。何とかします。」
「それじゃ、頼んだよ。」
そして、花見の日。俺は業務として朝から肉を捌いている…
真由美ちゃんが「ホント、器用ですね。」と声をかけてくる。
「そりゃ毎回BBQになるとやらされてるんだもん。慣れだよ慣れ。(笑)」
「それにお肉もですけど、お酒もあんなに安くして貰って大丈夫なんですか?」
「あぁ大丈夫、大丈夫。でも、ビックリはしてくれただろ?(笑)」
「ビックリどころじゃありませんよ。何であんなに安いんですか?修二さん、損してません?」
「何を心配してんの。損なんてしてないし、これでも家にビール1箱浮かせてるし、それが裏稼業ってもんですよ… (笑)」
「本当、ありがとうございます。」
「何を言ってんの?今日のは真由美ちゃんの手柄。(笑)」
「何処がですか?」
「秘密だけど、安く仕入れられる先を見付けたんでしょ、それが真由美ちゃんの手柄なんだよ。(笑)」
「優しいんですね♡」
「えっ?ヤラしい?(笑)」
「それは知ってますよ。(笑)」
「何で?」
「だって、クリスマス会の時に… 」
「あっ、そうだ。使ってんの、アレ?」
「使って~…ません。(笑)」
「もったいないなぁ。」
「そういう修二さんは、あの下着どうしたんですか?」
「あげたよ。」
「えっ?奥さんにですか?」
「何でだよ。姪っ子にあげたんだよ。」
「えぇっ!姪っ子さんですか?」
「そうそう、何かで喋ってる時に、「見てみた~い。」なんて言うからさ、面倒くさいから押しつけちゃった。(笑)」
「酷~い。」
「処分したか、使ってるかは知らないけどね。(笑)」
「いくつなんですか?」
「高2」
「若~い。」
「真由美ちゃんだって若いじゃん。」
「いやいや、高2は若いですって。刺激強すぎませんでした?」
「さぁ、今時の子だから、笑いのネタにでもしてんじゃない?(笑)」
「叔父さんなのに… 」
なんてやりとりをしていると準備も終わり、花見の開催。裏方の立役者として真由美ちゃんが祭り上げられていたなぁ…
マリンジェットにも参加して、水上のスピード感が気に入ったのか、「私も船舶の免許取りに行こうかな?」なんて言っていた。
話しを聞くと、昔から乗り物は何でも好きみたいだ。
バイクの免許も持ってるし、車もミッションに乗れるようにとAT限定にはしなかったそうだ。
ジェットコースターなんかも好きって言ってたから、スピード狂な所もあるのかな…
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