またさっきの案内所へ。案内の兄ちゃんが「あれ、さっきのお兄さん。あそこどうでした?」と、聞いてくる。
「さっきの所はチョッとバタバタし過ぎてたな。チャンスをあげるからさ、もう少し落ち着ける所あるかな?(笑)」
「解りました。チョッと待って下さいね。」と、目ぼしい所へ何軒か電話をしてくれる。
「BOXで座れるんですけど、もしかしたらカウンターへ移動になるかもですけどイイですか?」
「あぁ、構わないよ。」
「じゃ、此処まで迎えが来ますんで、チョッとお待ち下さい。」
と、程なくして店員らしき兄ちゃんが「お待たせしました。」と迎えに来てくれた。
「今日は多いね。」
「お陰様で。LIVEもありましたしね。」なんて喋りながら歩いてスナックビルへご案内。
「どうぞ。」と、ドアを開けてくれ待っていた女の子に案内されBOX席へ。
さっきと違ってラウンジに近いような落ち着いた雰囲気だ。
女の子が付き、水割りを作ってくれる。真由美が言う。
「さっきの所とは全然違いますね。(笑)」
「そうだな。でも料金形態は同じなんだよな。」
女の子に「同じスナックでも色々あるんですね?」と真由美が聞く。
「そうですね。お客さんも賑やかな所が好きな方もいれば、落ち着いた所が好きなんて人もいるし、お店も立地条件や建物の古さなんかで大きさや家賃に違いがありますからね。」
「そうか、だから同じ値段設定でも色んな雰囲気のお店があるんですね… 」と、関心している。
「師匠。さっきのお店もでしたけど、この辺りは焼酎のボトルが安いですね。」
「おっ、気付いたか。実はな… 」と、前に置かれた焼酎のハウスボトルの裏を見せ
「ほら、度数が20度だろ。」
「あっ、ホントだ。」
「俺達の所では25度なんだけど、九州の焼酎は同じ銘柄でも20度ってのが多いんだよ。」
「で、チョッとお安い。」
「で、ついついグビグビと飲んじまうんだよなぁ。(笑)」
「何か、九州男児って、酒飲みってイメージですもんね。(笑)」
「あっ!」
「どうしたんですか?」
「いや、何でも無いよ。」
「またぁ、師匠。何か思いついたんですね。(笑)」
「ま、儲け話とかじゃ無いけどな。」
「何なんですか?」
「それはまた今度な。(笑)」
女の子が「今日はLIVEで来られたんですか?」と聞いてくる。
「えぇ、そうですけど。」
「カッコいいですよね。良かったですか?」
「まぁね。特に此処は第二の故郷だし。今日もかなり盛り上がって時間も予定より超してたしね。(笑) な、真由美。」
「はい。やっぱりあの熱量は生で体感してしまうと、やみつきになっちゃいます。(笑)」
「お姉さんは彼女?奥さん?」
「えっ、あの… 」
「彼女ですよ。(笑)」
「イイわね。彼氏にそういうの連れて行って貰えるのって。(笑)」 と、時間は過ぎていってしまう。
「博多って、イイですね。」と、真由美が言う。
「どんな所がですか?」
「だって、オフィス街があって、繁華街が近くって、こういう飲める所も多くって、美味しいものは沢山あるし、屋台も楽しいし、新幹線や飛行機へのアクセスも便利だし… 」
「そうだな。(笑)」
「特に飛行場なんてこんな大きな街からならもっと離れた所にありそうなのに、30分も掛からないし、何て言うのかな。大都会なのにコンパクトって言うのかな。色々詰まった感じで、動きやすくて手が届きやすいって感じですね。」
なんて話してると、入り口が賑やかになる。って言うか騒がしくなる。
女の子が「うわっ、面倒なのが来た。」って、言う。
「どうしたの?」
「あの2人組、クセが悪くって。絡み酒でアチコチの店で迷惑かけてるんですよ。もし、絡まれても無視して下さいね。」
「ふ~ん、そうなの。コッチ系?(小指で頬をなぞる。)」
「では無いみたいなんですけど… 」
って、見るとチョッと厳つい系の兄ちゃん2人が入店を断ってるのに強引に入ろうとしている。
「ま、イイや。真由美も博多って動きやすくって良いなって思うだろ。」
「はい。」
「俺がもし此処ら辺りの人間で、裏稼業してたらどうなってただろうな?(笑)」
「ママも言ってたけど、私から言わせればそれはもう本業を越えてますって。(笑)」
「な~に、裏稼業って?彼氏、殺し屋さん?(笑)」
「いいえ、煙草屋さんなんですけどね。」
「えっ!」
「いやいや、普通の煙草ですけどね。こんな所でお商売が出来たら、沢山出るんだろうなって話しなんです。(笑)」
って喋ってると2人組が強引に入って来たようで、店の奥へ行こうとする。
店員が「ですから、付ける女の子がイナイんです。」 (うわぁ、こりゃ店も大変だな。)
と、俺達が座ってるBOXを通った時に声をあげる
「なんね、この兄ちゃんに2人も付いとるやろうが!」
「ですから、お客様なんです。」
「オッ!このお姉ちゃん可愛いから付けんね!」って真由美を指差してくる。
「お客様なんです。」と、店員が必死で止める
。俺の方を見て、「兄ちゃん、この子貸してくれんね。」と、絡んできた。
女の子が手を合わせて首を横に振る。
隣では真由美が少し怖がっている。
無視をしてると、「何をカッコつけよるんか!」と、更に凄んで来る。
俺は絡んで来た兄ちゃんの方へ体を向け黙って見上げる。
「なんね!」と、詰め寄って来る。
女の子に「チョッとトイレ。(笑)」と、言って立ち上がった時にはもう、絡んで来た兄ちゃんは転んでいる。
少し詰め寄り、醒めた目線で見下ろす。
攻めよって来たもう1人を睨みで制し、(連れて出て行けと)顎で促すと、そそくさと出て行った。
俺は「アァッ、もう限界(笑)」
って言いながら股間を押さえてトイレへ向かった。
トイレから戻ると女の子が「お兄さん強いんですね。」と、言いながらお絞りを渡してくる。
「えっ、俺はオシッコに行っただけで何もしてないじゃん。(笑)」
「よく言いますよ。でも、一瞬でしたね。」
「だから、ホントにトイレに行こうとして立った… あっ、ココじゃ無いよ。(笑)」と股間を押さえる。
ママさんが「すみませんでした。」
と、セットとは別料金になるレーズンバターや何やら乗ってる皿を持って来て「コレ、よければどうぞ。」と、言う。
「いやいや、俺はトイレに行っただけですから。それより、迷惑になりません?後で来たりとか大丈夫ですか?」
「エェ。あの人達はいつも女の子やお客さんに絡んで迷惑なんで、良い薬になったと思いますよ。」
「それならイイんですけど… 」 と、少しして女の子がチェンジするので席を離れる。
真由美が「師匠。今のが前にママが言ってた、立っただけで相手が倒れるってやつですか?」
「えっ、ココがか?(笑)」と、また股間を押さえる。
「そこが勃って倒れるのは私です。(笑)」って、下ネタで返してくる。笑ってると別の女の子が付きに来た。
「失礼します。」
「どうぞ。」
「さっきの凄かったですね。」
「えっ、トイレに行ったのが?(笑)」
「向こうのお客さんが、驚いてましたよ。」
「そりゃ、驚かせて悪かったね。(笑)」
「彼女さん、イイなぁ。こんな彼氏が居て。」
「いえ… 」
「それにしても、今日はお客が多いね。この時間でもまだ入ってくるもんね。」
「お陰様で、ありがたい事です。今日はLIVEもあったし、いつもより多いですね。(笑)」
「行って来ました。(笑)」
「えっ!そうなんですか?実は私も行って来てから入ってるんですよ。(笑)」
「えっ、行ってたの?」
「お陰様で、予定より30分遅刻しちゃいました。(笑)」
「へぇ~、こんな所に仲間が居たんだ。(笑)」
「さっきまで行って来たってお客様がいらしてたんですよ。どの辺で観てたんですか?」
「22列目の左の方。」
「うわぁ、近い。あっ、じゃぁハーモニカが飛んでいきませんでした?」
と、真由美が答える。「あんな取り合いが始まるなんてビックリしました。(笑) お姉さんは何処だったんです?」
「私は2階席で観てたんです。」
「カッコいいですよね。(笑)私の親より5つ下なだけなんて思えませんもん。」
「そうですよね。40歳過ぎてるのに凄いですもんね。あっ、お兄さん歌います?」
「本物を聴いてきたのに、耳を汚す必要ないじゃん。(笑)」
「イイから、イイから、何か歌って下さいよ。(笑)」
真由美も一緒になって「歌って下さいよ~。♡」
「じゃぁ、チョッとだけ。」
「♪ 死んじまいたい程の~ 」と、時間が過ぎる。
店員さんが「すみません。お時間なんですが、どうされます?」と聞いてくる。
「真由美。帰るか、もうチョッと飲むか?」
「もうチョッと、イイですか?♡」
「じゃ、延長で。」 真由美もカラオケをって事で、歌っている。女の子もファンなので聞いてくる。
「お兄さんは、アチコチLIVEに行かれるんですか?」
「そうだね。」
「イイなぁ。1番近い席でどの辺でした?」
「えっ、あぁ。最前列。」
「嘘っ!凄い。」
「そう?此処に大阪、東京、で経験あるな。」
「凄過ぎですよ。(驚)」
「前の方なら、東京で6列目、大阪で4列目、横浜で10列目、鹿児島でも4列目があったな。20列以内ならもっとあるよ。(笑)」
「どれだけ行ってるんですか?」
「18歳でセンターステージ観たのが最初だから、もう13年か。50本は超えてるだろうな。(笑)」
「生でハッキリ見えるって、羨ましいです。」
「でもね。あるあるネタを言うと、10列より前だとハーモニカは殆ど頭を越えて行くんだよ。(笑)」
「それでも羨ましいですよ。(笑)」
なんて真由美も一緒に色々と話しをしてると、お店が1時間延長の4時で閉店って事で、店を出ることになった。
「今日はご迷惑をおかけして、すみませんでした。ありがとうございました。」と、見送られる。
ホテルまで歩いてると真由美が指を絡ませてくる。
「師匠っ♡」
「ん?」
「今日、彼女って…♡(嬉)」
「あぁ、あれな。師匠だ何だってのが面倒だから、そういう事にしただけだぞ。(笑)」
「解ってます。それでも嬉しかったんです。それに、絡まれた時に守ってくれたでしょ。あれも、カッコよかったです。♡」
「守っては無いけど、小便行ったのがか?(笑)」
「はい。ママが言ってたのって、中学校時代の思い出で大袈裟に言ってるのかなって思ってたんですけど、目の前で見てホントなんだってビックリしちゃいました。」
「まぁ、相手が酒に酔ってて足がおぼつかなかったってのもあるからな。(笑)」
「師匠。」
「ん?」
「師匠が言ってた、九州の焼酎の意味が解ってきまちた。… 」
「どう?」
「グビグビ… 私、また飲み過ぎちゃってるかもです。(笑)」
「調子よく飲んでたもんな。(笑)」
「師匠。」
「ん?」
「おんぶ…ちて♡」
「しょうがないなぁ… ハイよ。」と、おんぶして歩く。
「師匠。」
「ん?」
「ちゅきっ♡ ちゅき ちゅき ちゅき だ~い ちゅき♡」 と、背中で何やら言っている。
ホテルに戻ったら、汗臭いし酒臭いのにシャワーする気力も無く、二人して眠りについてしまった。
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