四季の移り変わりは、思いのほか激しい。
春は、桜やハナミズキ、つつじなどの花が思い浮かぶが、雨風に当たると、たちまちその花びらを散らせてしまう。
「モーニングコール、してあげるわ」
月曜の朝早く、電車で都会に戻ることにしていた。
姉さんは、朝は早い。
念のため、電話を入れてくれるというのだった。
その時間は、午前五時だったが、しかし電話は鳴らなかった。
帰り支度といっても用意するものはほとんどない。
もしやと思い携帯をもって部屋を出ると、兄嫁の部屋から、姉さんの悲しげな声が聞こえてきた。
「ああ」
障子の穴からは、激しく後ろ突きにされる姉さんのあられもない姿が垣間見れた。
一瞬目が合ったような気がした。
その場を静かに立ち去り、部屋に戻った。
それからほどなく、兄は、外に出て行った。
「おいで」
姉さんの声がした。
恐る恐る、姉さんの部屋に入る。
「したいんでしょ」
姉さんの花びらが開いていた。
蜜が吸いたい。
たった今ほかの男の体液を放たれた女のそこは、これ以上なく潤っているのだった。
「姉さんの愛液が飲みたいんだ」
「馬鹿ね」
姉さんの両足が頭を締めつける。
きつく吸うと、おおっ、新たに愛液がとめどなく噴き出てくるではないか。
ブ、ブ、ブ~ン
つつじの花びらから、もぐりこんでいたハチが出てくる。
「愛してくれたお返しに」
姉さんのお口がせがれの頭をなでるように動く。
せがれはいつもニット帽をかぶっていた。
姉さんはそれをお稲荷と呼ぶ。
姉さんの頭が激しく上下する。
帽子を脱いだせがれが、声にならない歓喜の声を上げた。
「下のお口がいいの」
姉さんの指がせがれの首をつまみ、花びらの奥へと導いた。
「貝をもって生まれてきたのよ」
こんなに新鮮な貝を、しかもか生でいただくのは初めてだ。
激しく腰を動かし、ありったけの精を射出した。
「ああ。遅れっちゃうよ」
勤め先のある都会へ戻る電車の中だった。
遅刻しそうになった緊張感の中で、せがれは何気に元気になったが、あの時以来いっかな帽子をかぶろうとはしなかった。
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