『それではみなさん!
今日のところは、作法はあまり気にしないで、お抹茶の香りと味と雰囲気を愉しみましょう!』
私が抹茶の泡立ちを眺めているとヒロト先生に声をかけられた
『梶さん、私がたてた抹茶、どうですか?』
『はい、香りもステキなんですが、きめ細やかな泡立ちも綺麗だなって…』
『よいとこに気付かれましたね!そうなんです、泡立ちが大切なんですよ!
恭子さんも綺麗に泡立つとよいですね!』
いやんッ!私の泡立ちを…
『先生、綺麗に泡立たせるコツはあるんですか?』
『もちろんありますよ…大きくは3つあります
まず、適度な暖かさです。沸騰するような熱さはダメです。
かといって人肌程度ではぬる過ぎるので…ゆっくり飲み込みながら体感してください。
次に下準備です。なんでも準備が大切ですよね、前戯とでも言いましょうか…』
『えっ!?前戯!?』私はヒロト先生の顔を2度見した。
『しっかりと抹茶の粉をほぐしておいてあげないと、泡も立ちませんからね!
あとは、茶筅(ちゃせん)の動かし方です。激しくグルグル掻き回すだけではダメです。
手首を柔らかくしならせて、できるだけ素早く広く…動かし方はM字です!
そして最後は撫でるように優しく…』
『えっ!?M字開脚!?』思わず小さくつぶやいてしまった。
『恭子さん、違います。ゆっくりMの字に動かすんです…
もしかして…恭子さんもMの字なんですか?』
もうわけがわからなくなって…『そ…そうなんです』って答えてしまった。
このやり取りは姉の典子に見られていて、あとで質問責めにされた。
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