めくるめく官能世界に程遠く
まいを少林寺の道院見学に誘った。
彼女はあまり乗り気でなかったようだけれど、付いてきた。
脱いだ靴を揃える脚下照顧から始まり、参座、鎮魂行、各系相対練習まで、ひと通り見
学。
道院長から、見ているだけでは面白くなかろうと、まいと相対するように勧められた。
相手が全く知らない女性なら躊躇したろうけれど、まいなので何の抵抗もなくできた。
「イタタ、お兄さん、もっと優しくやって」
「ごめんごめん、これくらいならどう」
「うん、気持ちいい」
関節技で気持ちいいと言われのは初めてだった。
練習していた人達もクスクス笑った。
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「どうだったかな」
「本当に投げ飛ばすのね」
「そうだよ、踊りじゃないんだから」
「痛くないの」
「そりゃ痛いよ、急所を攻められるからね、でも小学生がやっていたのを見たでしょ、
わるくてもあざになる程度ですよ」
「ふうん」
「”自分と何か”を考えるきっかけになればいいかなと思ったのであって、別にまいさ
んにイタタタを勧めるために誘ったわけじゃないからね」
「うふ、はい」
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