めくるめく官能世界に程遠く
かかり湯で湯に体を馴染ませ、湯舟に全身を浸けた時、彼女が前をタオルで押さえなが
ら洗い場のドア開けて入ってきた。
硬さを残す白い肌とアンバランスなしやかな仕草、さっきまでのいたずら好きがまるで
嘘のよう、千変万化するまいの本当の姿はどれ、本人に訪ねれば、まいは何と答えるだ
ろう、そんなことを考えながら、斜め背にした体から立ち昇る湯気の向こうの彼女を眺
めた。
湯舟と洗い場を入れ替わり、彼女からじかに見えないよう半身になり、背中に彼女の視
線を感じながら体を洗った。
背中にまいが指文字を書いた。湯を流すたびに同じ文字を書いた。よ度目で、ようやく
分かった・・・・あ・な・た
湯舟の湯気は彼女を一段と愛らしい女にして見せた。
母に訊ねたかった。
僕がしていることはよいことなのですか、それともよくないことなのですか。
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