めくるめく官能世界に程遠く
この道はいつか来た道、そんな歌詞が浮かんだ。
でも、違う、この道は女子高生の命を破局へ向かわせる道、そのことに気付くのに何秒
も掛からなかった。
「まいさんにはまいさんのニオイがある、それをお姉さんのニオイと較べたところで、
何の意味もないです、少林寺に「己こそ己の寄る辺」という聖句があって、拳士なら誰
でも知っている。
「自分は自分、ひとは人」、よく「人は人、自分は自分」というけれど、僕は間違って
いると思う、自分を先に考えずに何の生き方かと思う。
もし、まいさんがこのまま周りと較べてばかりいたら、貴女はそのうちに自分を無くし
てしまわないか、僕はそれが一番怖いんです。
よーく考えて、お姉さんと較べなくていいと本当に分かってくれるなら、僕は今すぐに
嗅ぐ、嗅がせて欲しい、どうですか、嗅がせてくれますか」
バスタオルで覆ったまま、暫く、考え込み、おもむろに彼女は言った。
「お兄さんに私の体のニオイを嗅いで欲しいの、でも、口にして言わないで」
彼女が今、考えられるすべてなのだと悟った。
女子高生をベットに横たえ、彼女のすべてのニオイを嗅いだ。
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