めくるめく官能世界に程遠く
女子校の学園祭へ行ってみた。
受付の女の子に招待状を渡し名前を告げると、特設喫茶の飲み物無料券を渡された。
特設喫茶へ向かう廊下の途中、自分の名前と共に「喫茶室でお待ちです」とアナウンス
が流れた。
女子高生が息せき切ってやって来た。
「来てくれたんですね、よかったー」満面の笑み、可愛い。
「お姉さんが旅行中だから一人ですよ」
「ええ、知っています、もしかしたら、お兄さん、一人では来てくれないかも、なんて」
「うん、でも、まいさんがいるから、まあ、いいか、と」
紅茶を頼み、彼女も同じ紅茶を頼んだ。
彼女がマロンケーキを頼み、自分も同じマロンケーキを頼んだ。
以外にも男の客が多く、隣りに女子高生が寄り添ってくれいるおかげもあり、思ったほ
どの女性軍団の威圧は感じなかった。
男の中にはちゃらっぽけた服装もいて、TPO感覚がずれていそうなのも・・・・
そんな彼らも就活になれば、カラス族に早変わりなのだろうと苦笑した。
唯一、女性の集合のニオイに鼻がもら怪獣がいたのが、ダンス会場、女子高生の友達が
出演しているとかで、彼女の眼が輝いて見えた。
女性免疫力ゼロに等しい自分の最大関所、忍耐忍耐また忍耐、そのうち瞼が重くなり
頭がぐらつき始め、もたれた柔らかマットの心地よさに眠ってしまった。
どのくらい経ったのだろう、何か大きな拍手が聞こえて、目が覚めた。
柔らかマットは女子高生の腕・肩・首筋だった。
女子高生もずーっと忍耐、嫌がらず男の体を支え続けていた。
「お兄さん、お疲れでしたのね」
「ふぁー、ごめんごめん、ついウトウトしてしまって、まいさん、ずっとそこに」
「はい、うふ」
「あー、どうもすいません、柔らかなマットにもたれかかっていたと思っていた、まい
さんだっただなんて、けっこう重かったでしょう」
「少し腕が痺れました、でも、もう大丈夫ですよ、それより、男の人のいびきを耳元
で聞いたの初めてよ、うふ」
「ええー、いびきかいてたの、まいったな、どんないびきだった」
「うふふ、初めはスースー、途中からグーグー、時々ヒック」
「いやあ、ごめん、今度もあまりいいデートでなくしてしまったね」
「いいえ、お兄さんとこうしていられて、まい、嬉しいの、お姉さん、幸せよねえー」
「そういえば、まいさん、ヘンなニオイがしない、今気が付いた、他の女性だと、汗や
他のニオイが鼻を突くことがあるけれど、それがない、花火大会のときもそうだった」
「じゃあ、お兄さん的には、ほぼ合格ということかしらね」
「ぜんぜん、合格も合格、花まる五十まるだよ」
「ねえ、まだ4時前、お兄さんがダメって言えば、それまでですけど、カラオケへ連れ
れて行ってくださいません」
「歌のヘタクソな僕も、まいさんの歌声は知りたかったですよ、うん、行こ行こ」
「ほんとに、わあ、うれしい」
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