めくるめく官能世界に程遠く
「まゆさんが友人と温泉旅行中、まいさんを工学祭へ連れて行きますよ」
「そう、まいさんの何かのきっかけになるといいわね」
「僕もそう思いたいのだけれどね、当の彼女がどうもあまり乗り気でないみたいで」
「まいさんにとって、あなたは特別な人ですもの、しかたないでしょうね」
「で、学祭の帰りに、まいさんとまいさんの母親のふたりが、家に来たいと言っている
のだけど」
「へえー、そうなんですね、お母さままで・・・」
「まゆさんの日常が覗かれることで、なにか不都合はない」
「いいんじゃないかしら、お母さまが一緒にお出でになるのは、あなたの人となりを知
りたいからでしょうし、私は構わくてよ」
「もし、一晩泊まっても」
「えっ、お泊りになるの」
「母娘が相談して決めることだから、どうなるかまだ分からない」
「じゃあ、まいさんだけ外泊ということも」
「あり得る」
「・・・そう」
「まゆさんは、そうなっても僕を信じるだろうか」
「ええ、信じるわ、あなたほど一度口になさったことに責任を持ち、ぶれない意志の強
い男のひと、あなたと出会うまで知りませんでしたもの、あなたを信じないで男性の誰
を信じればいいというの」
「そんな大層な話ではないんだけどね、よわったな、あとで無責任と言われるが嫌だし、
いちいち他人の機嫌を伺い変節するのが面倒なんですよ、猪突猛進のこのアホは信じて
くれるひとを信じるし、大切な伴侶の妻、まゆさんに信じてもらえばそれでいいです、
ありがとう、感謝、感謝、感謝」
「うふ、愛してるわ、あなた」
「僕も愛している、まゆさん」
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