めくるめく官能世界に程遠く
りょうにはまゆみの身体への心配があった。
りょうに出会う前の彼女が、自己の大切さを十分認識していたとはとても思えない相手
依存に長い間陥っていたことと、男性経験の長さ、相手の男どもの酷さからみて、堕胎
させられた経験があるのはほぼ間違いなく、それも複数回に及んだ可能性すらある。
といって、彼女に言いたくもないことをわざわざ訊いて確かめ、母体が大事だから産ま
ない選択を取らないようにと説得するのは、誰にもさわられたくない傷口を無理やり広
げられるのと同じで、まゆみにとっても、りょうにとっても、何一つよい結果をもたら
さない。
こうしたときの回答を、りょうが似非科学と呼ぶ心理学から派生する西欧的コミュニケ
ーション領域に世間一般が求めるのはお門違いも甚だしく、自己崩壊さえ起こしかねない。
りょうがまゆみに気付いてほしいこと・・・答えは自分のこころの中にある。
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