めくるめく官能世界に程遠く
世の中には受精時の「産み分けゼリー」があるという。
もちろん希望通り100%というわけには行かないようで、80%程度。
問題は、この確率が高いかどうかにあるのではなく、望んだ性別でなかったときにどう
するか、早期に分かるから、産まない選択も当然のようにあり得るわけで、果たして
それでよいのだろうか・・・・
「まゆさん、産み分けゼリーを使いますか」
「迷っています、あなたはどうすればよいと思われて」
「僕の希望は男の子だけれども、一人目だし、どうしてもというほどの望みではないね、
五体満足、母体無事な出産であればいいと思っています」
「じゃあ、使うのは反対かしら」
「まゆさんが使いたければ使ってもいいですよ、でも、自然の摂理に逆らうのだから、
ふたりともそれなりの覚悟が要ると思うんだよね」
「というと」
「うん、仮に希望の性別でないとき、選択肢は三つある、産まない、仕方なく産む、こ
ころからよろこんで産む。もっとも、こころからよろこんで産むなら、始めから使わな
くてもいいわけで」
「そうなのよね、私どうすればいいの」
「まゆさんも僕もふたりとも覚悟が要るというのは、このことで、僕は産まない選択は
できればして欲しくないけれど、まゆさんがどうしても希望を叶えたいというのであれ
ば、夫婦仲に亀裂を生じるような無理な反対はしませんよ。
それに、仕方なく産むとまゆさんが決めても、お腹の中に十月十日も居るから自然愛着
も湧くだろうし、もし僕がDV男だとして、まゆさんが真っ先に守ろうとするのは、自
分の身でなくて、性別関係なくお腹の子だと思う。
そう思うと、産み分けゼリーを使って唯一残る問題は、産むか産まないか、まゆさん
に大事なのは、究極の自己中からすれば、まゆさん自身の意思だけということになる」
「・・・わかったわ、私、どうしてもあなたの赤ちゃんを欲しいの、だから使いません、
いいわね」
「もちろん、愛しているよ、まゆさんもこれから生まれるだろう子も」
「ありがとう、私も愛してるわ」
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