めくるめく官能世界に程遠く
「ねえ、あなた、私、年末のボーナスを頂いたら会社を辞めてもいいかしら」
「えっ、来年転居するまで退社しないと言っていた人が・・・会社で中かあった」
「・・・・いいえ、なにも」
「夫婦になったからといって、まゆさんはまゆさんだよ、男の独占欲を過度におもんば
かるのは、せっかく変貌を遂げつつあるまゆさんの女性としての輝きを失わせてしまう」
「ありがとう、そんなことを言ってくださるの、あなただけよ・・・あなた・・・あの
ね・・・あのね・・・」
「ん?」
「あのね、既に退社した元夫に私を体よくひき逢わせた既婚の上司がいたのね。
20代の独身だった私は、周りから仕事も評価されている彼に魅かれて、離婚して私と
必ず結婚すると言ってくれたのを優しさと勘違いして真に受けて恋愛して彼の愛人に
なったわ。
でも、彼は離婚して私と結婚する気なんて更々なくて、私は何年も身体を彼の性欲を
満足させるだけのただの性処理道具に使われて、彼の好みの女になるように、あなに
はとても口に出して言えないような恥ずかしいいろいろな調教も受けました。
だんだんエスカレートして、上手にできないと、ぶたれたり叩かれたり、何度も『ご
めんなさい、ごめんなさい』と言わされもしました。
で、そんな不毛な盲目の恋から抜け出したいと心に決めて、何度も奥さんと別れてく
れるように迫ったわ。
そんな私に彼は嫌気がさして、ふたりの情事を知る元夫に私を引き取らせたの。
今、元上司の彼は降格処分を受けて窓際に追いやられ、奥さまにも離婚されたわ。
その彼が、こともあろうに私との関係をあなたにばらすと脅してきて、あー、これが
本性だったと今更ながらに軽蔑したものの、可哀そうな気持ちもあって、手こきだけ
してあげたわ。
でも、性根が腐っている人というか、また関係を迫ってきたのね。
で、今の部署の上司にセクハラを受けていると申告したら、即、首になったわ。
でも、そのことが今の部署の人達の噂に上ってきて、私も出来れば早く辞めたいと思
って、これで私のぜんぶです、周りから人づてにあなたの耳に入るくらいなら、私か
らお話します。
あなたは聞きたくなかったでしょうね、こんな淫乱な女でごめんなさい。本当にごめ
んなさい」
「よく話してくれましたね、辛かったろう、まゆさん、ありがとうね、僕の思いは何も
変わらない、安心して胸を張って僕の大切な妻でいてほしい」
まゆみが恥ずかしさを堪えて話してくれたほとんどの部分は、既にまゆみの元上司が
りょう自身を脅すために音声メールでりょう宛てに添付してきたものと同じ内容だった。
りょうは元上司に「あなたは男として間違っている」とだけメールし、添付音声メール
を既に破棄していた。
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