めくるめく官能世界に程遠く
「お父さまはご実家から通ってらっしゃるのよね」
「そうですよ」
「ねえ、私に何かお手伝いできないかしら」
「まゆさんは正社員のOL、フレックスタイム制といっても、負っている仕事上の責任は
変わらない、実家は母が亡くなってから通いの家政婦さんが昼間来てくれているし、問
題ないと思う」
「何から何まで家政婦さんがやって頂けるわけではないわ、お母さまが丹精込めて造作
されたお庭だって荒れ放題じゃないの、どうするおつもり」
「ふーむ、庭のことはよく分からない、いっそ整地してしまおうか」
「あなた、なにおっしゃっているの、あれだけの庭を一から造ったら何十年掛かると思
って」
「以前から出入りしている庭師さんにやってもらえばよいのでは、その辺は4月以降実際
に転居してからまゆさんが仕切ってくれればいいです、面倒だけど頼みますよ」
「えっ、じゃあ、お庭のお勉強もしないといけないわね」
「えっ、庭って勉強が必要なの」
「えっ、庭師さんが勝手に造っているとでも」
「えっ、そうじゃないの」
「あー、お先真っ暗、夫教育に失敗しそうで私、怖いわ」
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