めくるめく官能世界に程遠く
「ご飯が余ってたからおむすび、どうぞ、お茶淹れるわね」
「ありがとう、丁度小腹が空いていた、天の恵みだ、ありがたや、ありがたや、味噌は
外から分かるけど、他は何」
「しそ昆布とシャケよ」
「いいね、旨そう、この味噌おにぎり美味しいよ、まゆさんが味噌を使うの初めてだよ
ね」
「ええ、おばあさんが、味噌は調味料の入っていない安いもののほうがおむすびに合っ
ているからって、わざわざ作ってくださって、食べたら本当に美味しかったのよ」
「家の味噌は調味料無添加だよね」
「そう、でも高いのよね、おばあさんに、そんな高いお味噌を使うのは料亭の料理人だ
けって笑われたわ」
「通りで素朴で懐かしい香りと味がすると思った」
「じゃあ、お母さまも、マルコメの田舎みそを使っていらしたのかしら」
「み子ちゃんとか何とか言っていたような・・・」
「あー、信州一ね、でも、両方とも、最近スーパーの棚でなかなか見かけないのよね、
なんでかしら」
「安いからじゃないかな、店の売上に貢献しなさそうだし、高ければ、煮干しを水から
戻すのを知らない主婦でも料理人になった気にさせてくれるでしょう」
「ふうん、そうなのかしら」
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