めくるめく官能世界に程遠く
「ご両親は結納式を何て」
「しなくていいって言ってました、一度外に出ているんですもの、私もそう思うわ」
「けじめはけじめ、形式には意味がある、育んで頂いたご両親へのお礼だよ」
「わかっていますけれど、この際、その分の出費を抑えましょうよ、ね」
「いいのかなあ、親父、納得するかな」
「あなたからの説得ですもの、きっとわかって頂けると思うわ、頑張ってね」
「ふーーむ」
「あ、それよりあなた、アパートどうするの、未だお聞きしてなかったわよね」
「だから、それは結婚したあとでも、うーん、トイレ」
「あなた!ちょっとここにお座りになって」
「なにそんなおっかない目をして、お化粧剥がれるよ、じゃなかった、崩れるよ」
「塗り壁?」
「ちょっとした間違い、許してタモレ」
「結局、ご自分のフリースペースが欲しいのよね」
「いやー、そう単刀直入に言われてしまうとー」
「押入れにゴザ敷けば」
「うわー楽しくなさそう、座敷牢みたい」
「もういいわ、私が引っ越し屋さんに頼みますから」
「ちょ、ちょっと待って、もう少しの間、ご猶予を」
「ダメですう」
「ふうー」
(万事休す、男らしく観念せい)
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