めくるめく官能世界に程遠く
科技サークルの顧問の準教授に元・現・次期3部長が呼ばれた。
学部側が信賞必罰をより厳しく査定し、助成費拠出分配に反映する意向という。
要は成果を目に見える形で学内外に示せということのようだった。
年間活動費用に占める助成費のウエイトは高く、無視すれば、サークルの改廃にも繋が
り、歴代先輩方に申し開き出来ない事態を招来しかねない。
現「今だって金が足りなくて、各自がバイト代をつぎ込んでいる、これ以上減らされた
ら、個々の活動なんて出来ない」
次「活動を縮小するしか手はないでしょうね」
現「君は各自が地道に積み上げたものが無駄になってもいいというの」
次「先輩達が寝る間も惜しんでされていることは尊敬していますよ、でも、成果として
記録に残っているのはあまりないじゃないですか」
現「自主性重視が伝統だから仕方のない面もあるよ」
次「その自主性がくせものなんですよ、言われれば率先してやるし、ある程度動いても
くれますがね、本当に好きでやっているなら、自分から動けと言いたいことも多々あり
ます」
現「りょう先輩はどう・・・って、この人、寝てるし」
元「ふふ、寝てないよ、ふたりの話を聞きながら、自分ならどうするだろうと熟考中」
現「いいですよね、一線を退いた人は」
元「ふふ、いいだろう、お前ももうすぐ優秀なリーダーの彼が引き継いで退けるよ」
次「冗談言わないでくださいよ、とんでないサークルに勧誘されて後悔しきりなんです
、それもこれも先輩達の負の遺産が原因です、少しは責任を感じてください」
元「あー、うん、それは大いに感じている」
現「で、何か妙案は」
元「ないね」
現「えー、そんな、寝ていたのと同じじゃないですか」
元「正確にいえば、あるにはあるけれど、実現性が薄い」
現「絵に描いた餅」
元「かもね、入った動機や目標がさまざまである以上、成果が出ないのは当たり前、成
果にこだわるなら、プロジェクト毎のやる気集団の塊にしないと」
次「今のメンバーでは無理です」
元「うん、そこなんだよポイントは、メンバーだけでやろうとするから無理がある、
もしも、メンバーであろうとなかろうと、プロジェクト毎に人を集められれば、もしか
すると・・・まあ、君達に無責任にああしろこうしろとは言えないからね」
現「・・・・」
次「・・・・」
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