めくるめく官能世界に程遠く
駅前カフェ
「僕が独身なのは今週末までだけれど、まいさんに心境の変化は」
「別にないわ、卒業まで大学へ通うんでしょ、あなたはあなたよ」
「まいさんには、もっと広い目で男性を見る目が必要なのではと思うんだよね」
「えー、どういうこと、まいのセックスレス彼氏をやめちゃうの」
「いや、そうではなくて、今のうちに男性の良し悪しを見極める力をつけるほうが、ま
いさんのために良いのではと思って」
「まいのスタンダードはあなたよ、まいに優しいし、お年寄りにも優しいし、頭はいい
し、お酒は飲まないし、暴力は振るわないし、女遊びはしないし、ギャンブルはしない
し、こんな男の人があなたの他にどこにいるの、居たら是非まいに合わせてください、
そうしたら考えますから」
「じゃあ、訊くけれど、僕の弱点は」
「女性が集まる場所で寝ちゃうところ」
「他には」
「ないわ」
「大ありですよ、まず怠け者、いつもどうすれば怠けられるか考えている、ノートをと
らないのもそう、頭がよいからではない。自分に関係ない人、特に女性は顔は一発で記
憶しても、名前は初めから覚える気がなくてすぐ忘れる、ディベート下手、口論するぐ
らいなら寝ていたほうがマシ、面倒くさがり屋だからさっさと片付け、あとは知らんふ
り、興味の湧かないものは時間の無駄だから、いっさい手を出さない、究極の自己中、
他人の批難に迎合しないのは自分のため、お年寄りに優しいのも、女性に優しくみえる
のも全て自分のため、などなど、弱点を挙げれば数限りなくある、まいさんが知ってい
る僕はほんの一部に過ぎないのです」
「そんなにスラスラ弱点を言えるあなたが、まいは大好きなんですぅ」
「あん?」
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