めくるめく官能世界に程遠く
「僕のニオイは」
「男性のニオイがしないのよね、体毛が薄くて、肌がスベスベしているせいかしら、
むしろ、私より女性的な匂いだわ、同じものを食べているのにヘンよ、あなた、以前サ
プリメントを飲んでいらしたわよね」
「えっ、何で知ってるの、もう2年も前ですよ」
「うふ、ドラッグストアでサプリコーナーでお目に掛かりました」
「あの時は確か・・・ビタミン剤と大豆イソフラボンだったような気が」
「へえー」
「徹夜作業が多かったのと、味噌汁を飲むより簡単だから、科技サークルなんて、以前
から相も変わらず体力勝負なんですよ、でも、よく覚えていますね」
「うふ、だって、トラック2台も来て引っ越されていたんですもの、周りの人達もどな
たが越されるか噂してましたのよ、そうしたら、なんと、頭ボサボサのお金のなさそう
ーな学生さんでしょ、みんな唖然としていましたわ、うふふ」
「はは」
「でもね、私がびっくりしたのはそのあとよ、その学生さんが一軒一軒タオルを持って
挨拶まわりをされていらしたの、ご夫婦でもそこまでされない方が多いのに、一目で胸
キュンってなったわ、うふ」
「あはは」
「それと、あなた、青汁も買っていらしたわよね」
「うん、そうね、野菜が足りなくなると、頭がわるいのは生まれつきだけど、どうして
も体の動きが鈍くなる」
「でね、ご近所の方達にその話をしたら、いろいろ野菜料理を作られて、私のもその中
に忍ばせて持っていっていただいたわ、黒酢の和え物、覚えてらして」
「ぜんぜん、でも頂いた物は残らず食べましたよ」
「どうして覚えていらしてくださらないの、おかしいじゃない」
「あのう、熱冷まシートあげようか」
「うふ、ま、それは冗談ですけれど、下痢するからって、コーヒーより紅茶や緑茶をよ
く飲まれるわよね」
「うん、それもできれば熱いほうが、子供のときからの習慣は、そうそう変われるもの
ではないし」
「マホービンのお水を4、5回はつぎ足すわね、男性臭がないのはそのせいかも」
「そうかな、僕はまゆさんの下着を身に着けているからではないかと」
「私のニオイが沁み付いちゃったとか、だったらうれしいわ、浮気防止にもなるし、お
ほほ」
「あはは」
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